テリーのアプローチ
注目を集めてしまったテリーは慌ててごまかそうとしたが、ゼニスがおもしろそうに話す。
「おやおや、その護衛だけでなく、ゲイトともそのような仲だったのですか……男好きなのですね」
「「違うわっ」」
2人の声が重なる。
「ハハハ、やはり仲がよろしくて何よりですな」
「俺は女性が好きだ。それに好きな女性がいる」
テリーはそう答えると、リナの方を見つめる。視線に気づいたリナは思わずドキリとしてしまい、片付けていた皿を落としそうになった。
咳払いをしてリナは気持ちを切り替える。
「それでは、最後のデザートをお出ししたいと思います」
レモネケーキを運び終え、無事にプレオープンという名のデモンストレーションは終了した。
ランドは感心して、リナに言った。
「いいレストランだ。ここまでこの島に美味しいものがあるとは知らなかった」
「ありがとうございます。お褒め頂き嬉しく思います」
「それにしても、普通にそのように接客をしていると乱暴者だとは思わないな」
「うふふふ。ありがとうございます。接客用営業スマイルというものですからお構いなく」
愛想笑いでごまかすリナ。
「レストランはもう少し工夫が必要だと思うがおおむねこれで大丈夫のように思う。しかし、ここで飲食して観光もしてとなると移動手段がなくなってしまうのではないか」
ブルトはリナに尋ねた。
「それが問題なのですけど、船の出航時間が決められている上に、夜は魔物が現れる可能性があると出航が禁止されているので……」
「そうだな……」
ブルトも考え込んでいると、ゲイトが発言した。
「なら観光客用の宿泊施設を作ればいいんじゃないですか」
「あーその手があったわね。あなたに頼めるかしら」
リナはすかさず畳み込むようにお願いすることにした。
「もちろんですとも。お任せください」
「ありがとうございます。それなら建てるにしてもかなりの敷地が必要ですね。ボンそんな場所あるかしら」
「はいっ。ちょうど余っている場所というか気味悪がられている土地はあります」
「何それ……どんなところよ」
「あー土から温かい水が出てくるのですよ。住民の間では呪われているのではないかと言われて誰も近寄りたがりません」
「ちょっと早く言いなさいよ。それ温泉じゃないのよ。その湯につかれば病の治癒もできるし、疲れも取れて最高のところよ。何呪われてるとか言ってのよ」
「妃殿下、それはすなわち儲けが出るということで間違いなさそうですね?」
ブルトが獲物を見つけた鷹のようなギラギラした目でリナを見た。
「そうですね。かなりこれでお金は稼げるし、一番の観光名物になります」
「そうですか……ならその施設は何とかしましょう。今から案内してくれないか」
ボンは頷き、2人を連れてその場所へと向かうことにした。
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