第29話 お姫様気質の血筋


小学校の同級生だったあやめちゃんは、可愛くていつもきれいな洋服を着ていて、お父さんはPTA会長だった。


学習発表会の劇は毎回主役、

親指姫、白雪姫、

声を失った悲劇の姫(オリジナル)、

いつもお姫様役だった。


さすがに一部の保護者から

「おかしいのでは?」

との声が上がっていたが、先生すら何も何も言えず結局その年もあやめちゃんが主役だった。


そして沢山の取り巻きがいた。

女子はもちろん男子もいて、掃除の時間によく「重いから運んでくれる?」などと頼まれるとみんな喜んで机や椅子を動かしていた。


役ではなくいつもお姫様だった。

下校時間になると、あやめちゃんがその日一緒に帰る人を5~6人指名して、その人たちに囲まれて帰るというアホくさいシステムがあった。


バイト先の蘭さんを見ていたら何故か思い出したのだ。


突然蘭さんが

「あっ、そうだわ、冬美ちゃん私の妹と小学校一緒で同級生だったのよ、両親が離婚して苗字が違うけど、藤枝あやめ って覚えているかしら?」


・・・なるほど 

納得した冬美であった。


 




 


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