第20話 泥だらけの戦い

同じクラスになった薊ちゃんは、小学校も同じで家も近所だっだが、冬美はまったく知らなかった。


しかし薊ちゃんは、以前からの友達のように接してきて、冬美が漫画好きなのも

知っていた。


「私の家にいっぱいあるから読みに来て」という甘い言葉に釣られ、

1回だけ遊びにいったら、冬美が買えなかった漫画がずらっと並んでいた。


大喜びで読みまくって帰ってきた。


とある日曜、部屋にいた冬美に母春子が

「外にうろうろしている子がいるけど友達なの?」と聞いてきた。


カーテンの隙間から外を覗いた冬美は、こちらをじーっと見ている薊ちゃんを見つけた。家の前の道路を行ったりきたりして、


またこちらをみていた。

怖い・・・少し距離を置こうと冬美は思ったが、


次の日も薊ちゃんはべったりくっついてくる。


トイレについてくる、他の人と話をしていると割って入ってくる、帰りは待っている、あまりのしつこさに嫌気がさした冬美は薊ちゃんを無視して帰った。


後ろから、ついてくる薊ちゃんを、さゆりちゃんは気にしていた。


突然、

「冬美ちゃんのばかぁ~何で無視するの~」と、大声で叫びながら薊ちゃんは冬美を突きとばした。ボチャン!田植え間近の田んぼに落ちてしまった冬美は、近寄って来る薊ちゃんを思い切り突き放し、

「しつこいのは、大嫌いだ~」と叫び返した。


田んぼの持ち主と見られる人に止められ、泥だらけで帰宅したら、

春子の悲鳴が響き渡った。


翌日湿った制服で登校したら、笑顔の薊ちゃんが待っていた。


「おはよう、冬美ちゃん」

深くため息をついた冬美だった…。


 


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