第18話 秋彦の正義


夕方冬美が学校から帰ると、家の中に数人のおじさん達が、父秋彦ちちあきひこを囲み何やら子声で話をしていた。


 

冬美の姿を見た途端、

「ああ、もうこんな時間か、じゃあ秋彦さんどうかよろしくお願いいたします」

などと言いながら、そそくさと帰っていった。


 

母春子は、皆が帰った途端台所から不機嫌そうに出てきて、


「お父さん、断ってよ、うちは全然関係ない話なんだから!」


と詰め寄っていた。


 


冬美は何事かと聞いてみたら、

大地主の区長さんと、さっきのおじさん達が、土地の境界標の件で揉めていて

秋彦に仲裁に入ってほしいとの事らしい。


冬美も

「何でうちにそんな相談に来たの?土地も持ってないんだから余計な事に

首突っ込まない方がいいんじゃないの」

と言ったら、

春子が「そうよ、そうよ」と

乗っかってきた。


「皆、困って俺に頼みにきたんだ、何もしない訳にもいかないだろう」


と秋彦は言った。


弱い者いじめのように感じたのだろう、絶対区長さんにもズバッと言うだろう。


しかし、このままでは終わらない気がする…と思う冬美であった。


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る