第17話 父秋彦

ある晴れた日曜日、秋彦は家の前にある畑で作業をしていた。

冬美は何気なく家の窓から眺めていた。


すべてがスローモーションに見えた。


カーブを曲がりきれなかった車が、

ガードレールにぶつかり、

スピンしながら反対側の畑に向かって転がり落ちた。


制御不能となった車は、走って逃げていた秋彦に覆いかぶさって止まった。


それを見ていた冬美の時も止まった。


我に返った冬美は外に飛び出したが、

足がすくんでその場から動けなくなってしまった。


 

ものすごい音がしたのだろう、


近所で井戸端会議をしていた春子ははとおばさんたちがやってきて、

大騒ぎになった。


冬美はその後どうなったのか?全く記憶がない。


 

覚えているのは、真っ暗な家の中で春子の帰りを待っていたこと


(多分付き添いで救急車にのっていったのだろう)


 

帰ってきた春子は電気もつけず、そのまま台所へ行き、


「同じ家族で二人も事故に遭うなんて…しんじられない」


と泣き始め、それを聞いていた冬美は布団をかぶって泣いた。


 

 後日、手術が成功した秋彦を見舞いに行った冬美は、

ベッドで笑顔で迎えてくれた秋彦にほっとしたのであった。


 

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