第10話 ラッキー君との出会い


 登下校時の坂の上に、おしゃれなオレンジ色の家がたった。


どんな人が越して来たのか?

興味津々だった冬美は、

通り過ぎる度、

きれいな庭を眺めながら帰っていた。


ある日突然、

犬小屋が出来ていて興奮した。


『どんなワンコか?見てみたいな』、

『いつ来るのかな?』毎日楽しみだった。


ある日庭におばあさんがいた。

そのそばにはワンコが!!!


おばあさんなら整骨院で慣れたから大丈夫、変な根拠で話かけた。


ワンコに触りたい一心で

「こんばんは」冬美は挨拶をして、

どんな人なのか様子を見た。


おばあさんは、こちらを見て優しく微笑んで

「あら、こんばんは」と

返してくれた。


『イケる!仲良くなれる!』

そう直感した。

冬美は毎日少しずつ話しかけていった…。


娘さんが来るまで、おじいさんと二人暮らしだそうで、ワンコは柴犬という犬種だった。


『子犬なので元気過ぎて大変だが、娘さんが引っ越ししてくるまで面倒をみている』と言っていた。


「足が痛いので散歩がね~」その言葉を聞いた途端、冬美はひらめいた。


「私が散歩させます!学校終わったらすぐきます!散歩が終わったら私の家で少しワンちゃんと遊んでいいですか?」


真剣な冬美の顔を見て、おばあさんは「よろしくね、助かっちゃうわ」そう言ってくれた。


雨の日と、土日は散歩をさせない、

水以外あげない、ご両親に許可をもらう、

などの決まり事をクリアして、

晴れて、ラッキー君と遊べるようになった。毎日とても楽しい日々を過ごしていた。


幸せだった。

あっという間に、

春が来ようとしていた3月のある日、娘さんが引っ越して来る、と聞かされた。


「今まで本当にありがとうね、またね」おばあさんにそう言われたが、もうラッキー君と遊べない事は分かっていた。今までのお礼を言って家に帰った。


中学生になって、通学路が変わり、

その道を通らなくなったが、

ずっと気になっていた。


ある日、様子を見に行くと「ワン!」というなきごえ…。


覚えていてくれてありがとう


大好きなラッキー君。


 

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