第9話 クレーム


気持ちよく晴れた日曜日の朝、冬美は洗濯に追われていた。


全自動ではない洗濯機なので、

春子に任せておくと、すすぎが終わっても

きづかなく水を止めない、脱水までたどり着くのは、まだまだ先だ。

なので、

学校が休みの日は冬美が担当していた。


1回目が終わった洗濯物を春子にたくし、

2回目をまわし始めたら、外から春子の声が聞こえた。

何かやらかしたに違いない、冬美は外に飛び出した。

干した洗濯物をみつめ、困った顔をしている春子がいた。

どうしたのかな?とみてみたら、

洗い立てのはずなのに、黒いすすが点々とついているではないか。


「なにこれ~?どうしたの?」

春子が無言で指差した方向をみた冬美は、

外に飛び出した。

近所のおじさんが野焼きをしていて、

風向きの関係で、すすが冬美の洗った洗濯物を直撃していたのだ。

「すみません、ちょっといいですか?」怒っている冬美は積極的である。

大人であろうと関係ない。悪いのはおじさんである。


「あ~?なんだ?」不機嫌そうな顔でこちらをみた。


「おじさんが野焼きをしているすすが、風でうちの洗濯物について困るんですけど…

また洗い直ししなくちゃいけないんです。」と家を指差した。

「あれ、秋彦さんとこの娘かあ~。悪かったなあ洗濯物だめにしちゃって~」

笑顔で謝ってくれた。が、冬美は生意気にも「これからは野焼きをする時は、電話ください。」

とだけ言い残し走って帰った。


家について洗いなおしをしていた春子に、

「これからは始める前に電話くれるといってたよ」と伝えたら、

何をしてきたかわからなかったようなので、今やってきたことを説明してあげた。


「ひえ~!」と変な声を発して、

慌てておじさんの家に、謝罪の電話をかけている春子を見て、何でこちらが謝るのか?と冬美は思った。


秋彦が畑仕事から帰って来たら先程の出来事を春子は、早口で話をしたがニヤリと笑うだけだった。


それから野焼きをする前には、電話がくるようになったのであった。




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