第4話 冬美の悲劇

その「にらみ?顔」のせいでいろいろ悲しい目に遭ってきた


「冬美ちゃんに睨まれた~」

 (にらんでないよ)

「冬美ちゃん怒っているの?」

 (全然怒ってないよ)

「今日機嫌悪いよね」

(いつもと変わらないんだけど…)


そういう事ばかり言われすぎて

言葉に出さない事が増えていった


そんなことより

もっと悲しかったのは、

小学3年生の時、

合同授業でのことだった。


冬美の隣は別のクラスの男の子だった。


並んで座った彼を見た瞬間、

なんてかっこいい人なの❤

眼はハートマーク…と思っていたのは本人だけ。


見とれていた冬美の耳に聞こえてきたのは

「おい睦月(彼の名前らしい)、

柳沼(冬美の名字)に何か?恨まれようなことをしたのか~?」

さっきからお前のことすっげえ睨んでいる感じするんだけど…


「いや、俺はなにもしてないよ、検討もつかないし、恐いよ だれか席変わってほしいよ」


…というやりとりだった。


その後は、早くこの時間がすぎてほしい…と願いながらずぅっ~と下を向いていた冬美であった。


小学校の卒業文集、

名前の下に簡単な紹介文が載っていた

委員長とその友達が書いていた


例えば「○○君、面白い男の子」などだ

作った本人達の欄には

「かわいい女の子」

「頭の良い男の子」

「かっこいい男の子」

などと、べた褒めであった

冬美は自分の欄を読んでみたら

「にらむと恐い女の子」と書いてあった

自分たちばかり良い事を書くのではなく、

こう書いたら相手がどう思うのか?

考えてほしかった

最終チェックをした担任の先生も

なにかしらの助言は無かったのか?

最後の思い出の文集なのだ 

などと、思うのであった。


ちなみに中学校の卒業文集には

「怒ると恐い女の子」と書いてあった

みんな怒ればこわいのではないか?

もし同窓会があったなら、多分、いや絶対に行かないと冬美は心の中で誓った

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