今日も行ってきます
例の地下室に先についていた耀と陸は、海王子学園組がやってくると、「お~い、二人とも遅いぞ~!」と冗談めかして囃し立てた。
「遅くなってすみません!」
「悪い。遅れた」
二人があんまり真面目に返してくるので、耀たちは逆に申し訳なくなった。
「いやいや、これ、ただの冗談だから!」
すると、四人が揃ったと同時に、店長が部屋の中に入ってきた。
さすがにもう、彼の羊の顔面に驚く者はいなかった。
「よし! 今日もみんな時間までにちゃんと来てくれたね! 感心感心!」
「で、今日の悪夢はどんな夢なんだ?」
陸が早速本題に入る。
「今日の夢主は、高校三年生のアツシくんだ。彼の苦手なものは数学。そして、彼が今抱えている悩みは、部活関係のことらしい。協会からの情報は以上だよ」
「今回もまた、すげぇざっくりだな…」
陸が呆れ気味に店長を見上げる。
「ま、今回も君たちだけでどうにかできる悪夢のレベルだから。アツシくんの悪夢の浄化、頼んだよ!」
店長はそう言って、横長の目でパチン! とウインクをした。どうでもいいが、羊の顔は毛がもこもこしているので、店長がウインクしたかどうか判断するのは地味に難しい。
「それじゃあ、いつも通り、ソファに座って!」
「は~い」
悪夢に入るのが四回目ともなると、耀たちもすっかり慣れてきた。さっさとソファの上にどっかと座り、目を閉じる。
「それでは、いってらっしゃ~い!」
パチン! と店長の指が鳴る音が聞こえ、耀たちは悪夢の世界へと旅立った。
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