第5章 LOVE Lesson あゆむ

旦那が夕飯を食べ終わり、お茶を出して洗い物をしていると、珍しく旦那から話し掛けてきた。


「どうだ、カルチャーセンターは?」


ドッキン!


思わず手を滑らせ、お皿を落としてしまった。


「ガチャガチャ!!」


「わっ、きゃ!」


驚いて、叫ぶと 


「…最近、驚かしてばかりいるな…。」


旦那は、訝しげな顔になっていた。 


「やっ!あなたからカルチャーセンターの事、聞かれる何て思わなくて…はは。」


「そうか?社内の奥様方の間でも流行ってるみたいなんだ。陽毬が、どんなの習ってるのかと聞かれてね。」


ギックゥ~!


何で私の話題なんか、持ち上げてるのよ!


「ま、マッサージ!そう、マッサージ!マッサージ!」


つい何度も繰り返して、余計怪しくしてしまう…けど、旦那は然して気にはしてないようで


「マッサージね…身体に良さそうだな。」


「今度、やってあげるね。」


苦し紛れに言ったら


「そうか…マッサージして貰うか…。」


旦那は、照れ臭そうに笑っている。


ズキン…。


何だが胸が、苦しくなっちゃったわ…。


『東京Love Culture Center』


ビルの階数表示をジッと見て、深呼吸する。


最初来た時は、りきやがエレベーターから降りて来たから、一歩踏み出せた…。


たまたまだ…りきやから始まったのは、

『偶然』でしかない…。


このカルチャーセンターに、足を向けた時点で、清水の舞台状態なんだから!


よっし!ど~んと、来~い!!


…どんとは、やっぱり無理かな…。


心の中で、一人突っ込みしながらエレベーターのボタンを押した。


チーン!


エレベーターが、到着する。


ドアが開くのをボーッと見てると


「あっ!」


「陽毬さん!」


何で…やっぱり貴方が、現れるの?


「りきや…さん。」


「これから…レッスン?」


りきやを裏切ってる訳じゃないのに…何か後ろめたい。


「はい…。」


「そっか…。」


何か…微妙な間があるな。


「陽毬さん。」


「はい!」


跳び跳ねそうになった。


「また、さくらんぼのショートケーキ…食べようね。」


「…うん!」


その一言に、勇気が湧いてくる。


りきやはニッコリ笑って、外に向って行こうとしたから


「何処に行くの?」


「コンビニ!」


キュン…。


頑張るわ…貴方を独占する日まで…。


「陽毬様、準備出来ましたので、お部屋にどうぞ。」


今日もヤマネさんは、麗しいお姿で案内をしてくれる。


ヤマネさんが、講師をやる事もあるのかしら?


そんな事を考えつつ、いつもの様にレッスン室のソファーに腰を掛けて待ってると

コンコン!


来たっ!


やっぱり、まだ慣れない…ドキドキしてくる。


「はい!」


ガチャリとドアが開き


「こんにちは!初めまして!宜しくお願いします!」


元気良く現れたのは、23歳の若手

『あゆむ』


何か今の挨拶といい、純朴さが有るような気がして、ちょっと和む。


「ふふ…宜しくお願いします。」


下げた頭を戻すとあゆむは、私をジッと見て


「陽毬さん…人妻っぽく見えないですね。」


「えっ…色気ない!?」


また、言われた~!


それも、6つも年下の子に…凹むわ~。


私が落ち込んだのが、分かった様で


「あっ!違いますよ!何か、初々しかったからつい!すみません!」


真っ赤になって、頭を下げる。


そんなあゆむも初々しく見えて、私は自然と笑顔になった。


気を取り直し、あゆむもお茶を淹れてくれる。


きっと、どの講師もリラックスやコミュニケーションに繋げる為に、淹れてくれるんだろうと思った。


「陽毬さん、はい紅茶です。」


「有難う~。」


あゆむは、私に何を飲みたいか確認して、紅茶を淹れてくれた。


まだ、若いから相手に聞いた方が、早いと思ったのかも。


パラパラと資料を見ながらあゆむは


「あの~ぶっちゃけて聞いてもいいですか?」


「ぶっちゃけて?」


何か面白い。

気兼ねがなく話せるのは、やはり年下だからかな。 


「このスクールに来るの、凄い決意いったと思うんです。俺もそうだし。」


「あゆむさんも?」


「あっ!あゆむでいいですよ!」


一応、講師だし…呼び付けもな…


「じゃあ…あゆむくんで、いいかな?」


「はいっ!」


イケメンだけど、可愛く見えてきたな。


「ここに通ってみようと思った理由は…何なんでしょう?」


あゆむの変な敬語に、笑ってしまいそうになりながら答える。


「理由…最初は旦那との関係が…いまいちだったから何か始めてみたかったんだけど…今は、凄く自分が変わりたい…そう思ってるの。」


「そうですか…流石だな…。」


ん?流石って、何がかな?


「どうゆう意味?」


「うん…特殊でしょ、ここ。最初のミニ体験で怖くなったり、お金が出せなかったり…けっこうリタイヤ早かったりしちゃうんですよね。」


「そうなの…。」


解らなくもない…私も最初がりきやじゃなかったら、やらなかったかも…。


「陽毬さんの申し送り見てると…最初から順調なんで、予定も守るし、何より陽毬さんが前向き!」


ニッコリ笑われ、釣られて笑顔になる。


誉められてるんだよね?


「最初からりきやさんが、続いてる人…始めてかも…。」


「へっ?でも講師は選べるから…。」


「基本ね!でも、ミニ体験からりきやさんは今までないし、前回の『性感帯』で引いちゃって、脱落する人も多いから…こんな丁寧に書かれてるのも、そうそうないよ…流石~りきやさん!」


ドキン…。


『申し送りしとくね…陽毬さんが、気持ち良くなれる様に…。』


「そう…。」


りきや…目の前に居なくても、側に居てくれてるみたいだね。


「う~ん…三連チャンの後に俺か…はぁ~奥の手しかないかな…。」


ん?『奥の手』


「じゃあ、始めましょっか!」


「う、うん…。」


また、爽やかに笑われたけど、少し不安になってきた。


前回と同じ下着を渡され、バスローブを羽織り着替え部屋を出る。


あゆむもりきや同様、スーツの上着を脱いで、ネクタイを外し、シャツを腕捲りしていた。 


一応今日も、指や舌を使ってくるだけだ。


「陽毬さん、こっちこっち!」


あゆむもすっかり、フレンドリーになっていた。


「うん!」


ベッドサイドまで近寄る。


「はい、座って~!」


と、腰掛けさせると、あゆむは何か手に持っていた。


「あゆむくん…それは?」


「あれ~知らない?」


「知らなくはないけど…使った事はないかな…。」


私の言葉に、あゆむは嬉しそうに笑い


「初めて!?分かりました!優しくやるから安心して下さい!」 


「う、うん…。これって…ピンクローターって言うヤツだよね。」


「はい!余り使いたくない『奥の手』だけど、テクニックでりきやさん以上は、俺にはまだ無理だから。」


自信無さ気に言うあゆむ…彼なりに考えてくれたんだろう。


「初めてだから、お手柔らかにね。」 


「はい!」


あゆむの笑顔に誤魔化され、この時は余り気にして無かったけど、その後にローターの脅威を思い知るのだった。


ウイ~ン!ウイ~ン!


ローターの調整をしている。 


「先ずは、弱めで様子見ながら強弱付けますので。」


「うん…。」


ちょっと未知で、怖いな…。


「じゃあ…バスローブ脱がせますね。」


「はい…。」


あゆむがバスローブを私の肩からずらしていき、ハラリと落とす。


「陽毬さん、肌綺麗だね!」


ニッコリ笑われて、また釣られ笑いをしそうになったが、もうプレイが始まっていた。


あゆむの唇が首筋を這い始め、両手は下着の上から胸を包み揉み始めた。


「あっ…。」


「いきなりローターは、使わないから…少し感じてキテからが、ちょうどいいと思うんだ。」


「う…うん…。ひゃっ!」


「はっ!陽毬さん、本当に反応いいね~。楽しみだな…。」


そう言って、早速胸の下着を外される。


若いから勢いが、あるのかしら…あっ!


乳首を唇に含み、吸われながら舌先で突つかれる。


「あっ…あぁ…ん…。」


やっぱり、みんなテクニックを駆使してくるのね。


しばらく胸を弄られ続け


「硬くなったし、唾液で濡れてるから…今度はコレでやっていくね。」


正にピンクの物体が、小刻みに震えている。


「う、うん。」


「乳首は激しくしない方が、気持ちいいかもなんで、弱めから始めるよ。」


あゆむは私が寄りかかれるように後ろに座り、脚を広げて間に私を挟み、腋の下から腕を通して、ローターを右胸の乳首に当ててきた。 


「ひゃっ!やっ!な、何っ!」


指や舌では出来ない、一定感覚の確実な振動が、一気に私を責め立てる。


「あぁ!ダメ…!」


「陽毬さん…まだ乳首だけだよ…。」


「でも…あっ!」


私は喉を仰け反らせ、頭をナツの肩に預ける。


「陽毬さんの声…そそるね…。りきやさんが連チャンしたのも解る気がする。」


「あぁ!いやぁ…!」


りきやの名前…言わないで!


左胸を揉んでいた手が、私の秘部に伸びてきた。


「あっ…。」


「濡れてきた…もう少し濡れた方が、入れやすいから…。」


「あっ!あっ!」


胸をローターで責めたまま、あゆむの指が下着の間からアソコに直接触れた。


「陽毬さんのクリトリス…可愛いね…。」


あゆむの人差し指は、小さな突起を弄りながら、中指と薬指を中に侵入させてキタ。


クチュクチュ…。


指を小刻みに揺らし、溢れ出てきた液の音をわざとらしく響かせる。


「やんっ!やっ!」


「凄く、気持ちよくなるから…待ってて…。」


かなり濡れてきたのを確認すると、指を抜いて下着を脱がせ、片足はあゆむの膝に載せられ、脚が思いっきり広がり、アソコを露にされる。 


「あゆむくん…怖い…。」


「大丈夫だよ…。」


そこで、初めてあゆむは私にキスをした。


「あっ…。」


真横に押し付けられ、私の唇をすっぽり包みこむ。


「う…うん…。」


唇を割って入ってきた舌が、私の中を掻き回し意識がキスに向かおうとした時だった。


ウイ~ン…ウイ~ン…グチュ!ヌチャ!グチュ…。


小さく聞こえた機械音が消え…私の中を掻き乱す音に変わる。


一気に奥まで入れられ、感じ易い部分で震えてるのが解る。


「あぁっ!やぁ~ん!あっ!」


「まだまだ…これだけじゃないよ…。」


「はぁ…あゆむぅ…抜い…あっ…あっ!。」


小さな白濁が、視界に一瞬襲ってくる。


私の虚ろな表情に


「陽毬さん…凄くいい顔…。」


そう言って、首筋を舌で舐め上げて 


「こっちも…欲しがってるよ…。」


「あっ…な…に…。」


まだ奥に挿れられたまま、乳首を責めてたバイブで、クリトリスに押し付けられる。


「ひゃあっ!ダ…メェ!あぁ!あ…あぁ…。」


中も外も容赦なく、確実に責めて立てられる。


「はぁ…はぁ…あっん!」


「これは…どう?」


クリトリスに当ててる、ローターを回し始めた。


「やめっ!あぁ~!あゆむ!お願いっ!」


あゆむに必死で、しがみ付くと


「乳首…凄い尖ってキタ…。」


「へっ…?…あっ…あぁっ…。」


チュパ…クチュ…。


あゆむの口で、胸を吸われ始めた。


「ふぅ…ひっ!あっ…。」


快感なのか恐怖なのか…解らない感覚が頭をグルグルさせて、何も考えられなくなってくる。


「はぁ…ふっく…。」


涙も溢れ出してきた。


りきやも激しかったけど、優しかった…。


有無を言わせない、強引さは無かった…。


ローターは、私の意思を無視して、ひたすら責めあげる。


「はぁ…はぁ…ひっく…。」


私が泣き始めたのと、疲れてきてるのを気にしたのか


「あぁ…陽毬さん、横になろうか。その方が楽だよね。」


ベッドに身体を横たわらせてくれたが、ローターはそのままだ。 


動くと振動が響き、全身をなぶられてる感覚になる。


「あっ…ふぅ…。」


私は倒した身体を仰け反らせると、あゆむは腰の辺りに股がって、つきだす胸を両手でゆっくり揉み始める。


「可愛い…ちょうど手のひらにおさまるし、柔らかいね~。」


クリトリスは弄られないが、中にはまだローターが蠢いている。


「あっ…あっん~!あゆむ…くん…ロ…ター抜いて…。」


私の哀願に


「でも陽毬さん、肌もこんなにピンクになって…ここも…」


指でアソコを撫で上げ、クチュクチュ音を立てる。


「あぁっ!やっ…。」


「こんな…滴ってるよ…。」


愛液で濡れたあゆむの指は、乳首をコリコリと弄る。


「ふぅ…あっ…。」


「もっと、叫ばせたいな…。」


「えっ…なに…。」


あゆむは、ローターのコントローラーを持って


「ちょっとだけ、強くしま~す!」


やっ…ウ…ソ…。


目盛りを回したのは、ほんの少しだったと思う…けど、慣れてない私には効果てきめんだ。


奥で、振動が激しくなっていくのが解る。


「あゅ…あぁあぁっ!」


容赦なく身体中に走る、何とも言えない感覚から、逃れたくて叫んだ。


「陽毬さん…良い声だよ。」


下腹部に乗ってるあゆむにお腹が押しつけられてて、余計ローターが、私の弱い処を責め立てる。


「あぁっ!や…ぁ…あ…ん…。」


気が遠くなりそう…開いた口は塞げず、喉の奥から喘いでしまう。


「あ…あん…ひっ!」


助けて…助けて…りきや…。


あゆむは気にもせずに、私の首筋、胸元やお腹と舌を這わせて下がっていき


「舌触りがいいよ…スベスベして気持ち良い。」


そんな事言われても、照れてる余裕すらない。


「あ…あぁ…は…ぁ…。」


手も足の指も、シーツをしわくちゃにするくらいに、しがみ付く。


「あっ…あっ…あっ…。」


ローターの振動に合わせて、声が震えてしまう。


「陽毬さんのココ…もういっぱいになっちゃった…。」


見なくても、凄い溢れてるのは解った。


「このまま舐めて、あげるね…。」


クチャ…クチュ…あゆむの舌が、クリトリスを苛めながら、溢れだすジュースを舐め始める。


「やぁ…あゆ…む…もう…無理…。」


奥も外も同時に責められ、本当に何も考えられなくなる。


ピチャッ…クチュ…。


あゆむの舌先が、膣口をなぞりあげていく。


「あぁ…はぁ…ひっ…。」


「はぁ…陽毬さんのココ…凄い甘いね…。ヤバい…病み付きになりそう。」


「え……あっ…!」


あゆむは私の脚を持ち上げて、自分の肩に乗せた。


露になってる秘部を口を開いて包み込み、舌を挿して中で回しだす。


ピチャッ…クチュクチュ…。


腰が浮いた体勢もあってか、ローターが更に奥に入っていくと、今までない感覚が一気に駆け上がってキタ…。


「あぁあぁあぁっ!!…イ…ク…。」


唇を離したあゆむは


「いいよ…陽毬さん、何度もイっちゃおう…。」


何度もなんて…もう……ダメ…。


「あっ…あぁ!………っ。」


ガクッ…身体から力が抜ける。


「陽毬さん!?」


あゆむが、驚く声がした。



りきや…ごめんなさい…。




何故か無意識に、りきやに謝りながら、意識は白濁の海にフェイドアウトしていった…。




りきやが、優しくキスをする…


『陽毬さん…大丈夫…?』


うん…大丈夫だよ…だってりきやだったら、何されても全部、気持ち良いもの…。


「りきや…。」


「なぁ~に?」


ん…なぁに…って、りきやの声が…へ!?


ガバッて、一気に起き上がろとして、フラッとよろめいてしまったが、力強く支えてくれる腕があった。


その腕は…


「陽毬さん!」


「りきや…さん…何で?」


私、さっきまであゆむにローター責めにあってた筈。


状況は、バスローブ姿でりきやの膝枕で寝てた様だ。


そんな私にりきやは、安堵して


「はぁ…良かった。あゆむがやり過ぎたみたいだね。ちゃんと叱っておいたから。」


「叱って…あれもレッスンじゃ…。」


りきやは、私の顔に掛かった髪を払いながら


「確かにあるけど、事前に説明はするんだ。体調にもよるし…今日みたいな使い方は、違反だからね。今、ヤマネに搾られてるよ。」


「そう…あゆむくん、レッスンの為に頑張ったのかと思ってたから…。」


りきやは眉根を寄せて、困った様な顔をして


「だから…心配だったんだ。陽毬さん、何でも我慢しちゃいそうだったから。」


ポンポンと、背中を擦ってくれた。


「ごめんなさい…。」


「陽毬さんは、悪くないよ。」


あぁ…やっぱりりきやは優しい…でも、何で今一緒に居るんだろう?


他のレッスンじゃなかったの?


私はりきやをジッと見詰めると、それに気付いて聞いてくれた。


「陽毬さん、どうしたの?」


「どうして…私のレッスンに居るの?あれから、レッスンあったんじゃないの?」


りきやは黙って、私を見詰め返す。


ドッキン…ドッキン…。


何だか鼓動が高鳴ってしまう。


りきやは静かに話し出す。


「レッスンは…午前だけだったから…。コンビニ行く時、陽毬さんを見掛けて…何となく気になってね。」


ドックン…。


「気にして…くれたの。」


「うん…前回の性感帯で、泣きそうだったから…。今のレベルは、性感帯開発だからね。あれこれされてると思うと、心配になって…。」


ドッキュン!


りきや…私、人妻だよ…。


そんな優しくされたら、勘違いしちゃいそう…。


あ…でも、人妻だから言えるのかも…ガックリ。


少し落ち込みかけると


「待機しといて良かった…まさかあゆむが、あんな無茶させるとは思わなかった。あゆむも慌ててヤマネに言いに来て、そこに俺が居合わせたんだ。」


あゆむは貴方に勝てないって…『奥の手』を使ったのよ…。


「これ…着せてくれたのって…。」


「ごめん…俺が着せた。」


申し訳ない顔をしてるりきやが、切なそうに見えてしまった。


ドックン!


「有り難う…。」


「もう、立てそうかな?」


「うん…大丈夫…。」


「良かった。着替えたら、ラウンジで待ってるから。」


「はい…。」


私は小さく微笑んで、着替えをする為に、小部屋に向かう。


今日は、貴方に触れられないと思ったのに…最後に触れてくれたのは…やっぱり貴方なのね。


でも、何であんなに優しいの?


私が独占コースを申し込んでるから?


誰にでも同じ様に、してるんじゃないのかな?


持たなくていい筈の…持つべきじゃない疑問が次々と沸き上がる…。


でも…彼の瞳が余りにも切なくて…あんな風に見られたら、勘違いしちゃいそうなんだもん。


りきやとあゆむでは比べものにならない。


彼の甘いキスと愛撫は、最高だから。


きっと…皆にしている。


そう…私はただの『生徒』だし、『人妻』


旦那との仲を良くする為に、りきやたち

『講師』は頑張ってくれている…。


それ以上でも…以下でもない…。


最初から最後まで…この関係は崩れる事は、無いんだもの…。


シャワーを浴びて、服に着替えてラウンジに戻ると、りきや、ヤマネ、あゆむの三人が待っていた。


「陽毬様、体調は大丈夫でしょうか?」


ヤマネの憂いている表情が、色っぽくてドキドキしてしまう。


皆に心配かけて、申し訳無い…穴があったら、飛び込んでしまいたいわ。


「大丈夫です…ご心配お掛けしまして。すみません。」


私が不慣れなばかりに…。


「陽毬様は、全然悪くありません。こちらの指導不足でした。本当に申し訳ありません。あゆむ!」


呼ばれたあゆむは


「本当に申し訳ありませんでした!!」


めちゃめちゃ、勢い付けて頭を下げている。


あゆむなりに必死にやってくれてたんだよね…。


最初からりきやから連チャンだった事に、プレッシャー感じてしまって…奥の手を使ってしまった…何て、言えないわよね。


「あゆむ…大丈夫よ。一生懸命にやってくれてたのは、嬉しかったわ。」


「本当っすか!」


ぱぁ~と明るくなるあゆむに


「こら!ちゃんと反省しろ!」


注意するヤマネ。


りきやに視線を移すと…また切な気に、見詰めているんだけど…


ドキドキ…。


何だろう?



りきや…?


ドキドキドキドキ!!


ヤバい…鼓動が早って顔が熱くなってきた。


「陽毬様?やはり体調がすぐれませんか?」


「あっ!大丈夫です!はい!」


「今、ハーブティーを淹れますね。」


りきやがお茶を淹れに、立ち上がる。


キュン…一つ一つが胸に響いてしまう…。


あぁ…優しさに飢えてるのかしら。


「では陽毬様、次のレッスンの打ち合わせをしたいんですが、宜しいでしょうか?」


「はい!お願いします!」


「畏まりました。あゆむ、もう戻りなさい。反省文を今日中に、提出すること!」 


「はい…失礼致します。」


あゆむは頭を項垂れながら、ラウンジを出て行った。 


何かちょっと、可哀想だな…。


私の考えを察したか


「陽毬様、お気になさらずに、本当に辛い思いさせてしまいまして…。」


ヤマネが顔を険しくしてるなんて初めて見るし、いつもの麗しの笑顔から想像が付かなかったな。


「私も…気を付けます。」


全部受け身じゃ、変われないよね。


「陽毬さん、カモミールティーです。」


りきやはそっと、ティーカップを置いてくれた。


「有り難う…ございます。」


キュン…嬉しいな…。


「では、私も失礼致します。」


「えっ…。」


行っちゃうの!?


りきやは丁寧にお辞儀をして、ラウンジを退出して行った。


ヤマネは見事なタッチで、キーボードを叩きながら


「次のレッスン何ですが、年上とかいかがですか?」


「はぁ…。」


旦那と年齢が近い人を体験しといた方がいいと思って、二名年上を選んだ。


確かに、また若い人は微妙かも…。


「はい、年上の方でお願いします。」


「畏まりました。選んだ中で一番年上のたくみにされますか。旦那様と同じ年のかおるも居りますが…。」


パソコンの画面を私に向けて、プロフィールを見せてくれる。


40歳『たくみ』と35歳『かおる』…。


「たくみさんに…してみます。」


旦那と同じ年はリアルな気がしたから、また次にしよう…。


「畏まりました。次にレッスンはたくみで承ります。」


カタカタカタ…。


キーボードの音をBGMに、りきやの淹れてくれたカモミールティーを一口飲む。


ホッとする…。


今日、りきやが居てくれたから、次に進めたと思う。


貴方に辿り着くのが、目標になってしまっているけど…ただ、旦那との為だけじゃ、ここまで変わりたいと、思えなくなっている。


りきや…貴方を独占する時まで、相応しく成長していたいと思ったの…。


こうゆう私は、『ふしだら』な人妻かしらね…。


カモミールティーを飲み終わる頃、だいぶ体調も落ち着いていた。


「お騒がせしました。」


「陽毬様、とんでもございません。今後二度とないよう気を付けます。でも、器具を使う事は可能ですが、種類を限らせております。」


「そうなんですか…。」


きっと色々使ってしまったら、それこそ危険な場合もあるのかも…。


「ご使用を希望される場合は、レッスン前にお申し出下さい。成長の為ですから、恥ずかしい事では、ありませんので。」


「はい!有難うございます!」


「クス…いつもの陽毬様ですね…。」


優しくヤマネは、微笑んでいた。




エレベーターまで、見送られ一階のエントランスに着きドアが開くと…


「りきや…さん。」


凄い!また、りきやに会えた!


「コンビニだよ。」


ニッコリ微笑む。


「コンビニ…好きね。」


「まあね。1日ここに居るから、たまには外の空気を吸いたくなるんだ…。もう、大丈夫?」


「ふふふ…カモミールティー美味しかった。落ち着いたから、大丈夫…。」


「そっか…俺ならあんな無茶、させなかったのに…。」


ドックン…。


りきや…嬉しいけど…切なくなるな…。


「じゃあ…また、次のレッスンも無理しちゃダメだよ…。」


「はい…。」


りきやは微笑んで、エレベーターに乗りこむ。


ドアが締まり、階数表示が停まるのを私は、ジッと見届けた…。

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