第3章 LOVE Lesson 1

「おはようございます!」


「…おはよう。」


朝からテンションの高い私に、旦那はちょっと驚いていた。


「はい!新聞!」


「ああ…。やけにご機嫌だな?何か良い事でもあったのか?」


ドキン!


「ううん…ちょっと習い事をね、始めてみよっかなって!」


なんて…今日から『東京Love Culture Center』の初レッスンが始まるんだけど。


明らかに、愉しそうな私の様子に旦那は


「そうか…いいんじゃないか。ただ家に居るだけでは、つまらないだろうし…。」


新聞を広げながら、ぶっきらぼうに言った。


「え…。」


「どうかしたか?」


「あっ!有難う!」


「何か必要になったら、言いなさい。」


「はい…。」


ビックリした!


こんな労りの言葉なんて、そうそうない。


早速、カルチャーセンターの威力が発揮されてるのかな?


気持ちがワクワクするだけで、こんなに違うんだ!




今日のレッスンが、不安から期待に変わっていく…。



旦那を送り出し、家の掃除が終わったら、出掛ける支度をする。


服装は、自分なりに派手すぎず、地味すぎずにしてみた。


一応人妻だし…表向きはカルチャーセンターだし…。


でも、りきやには少しでも可愛く見せたいな…なんて。


『恋愛御法度』だけど、これは恋愛じゃない…ファン…そう!


私はりきやのファンに、なっちゃったんだ!


だから、ドキドキもワクワクもするわよね!


「痛っ!」


そんな事を考えてたら、ビューラーで瞼を挟んでしまった。


「はぁ~落ち着け自分…。」


両手で顔を挟んで、鏡を見る。


目が大きい訳じゃない…。

鼻がスッキリ高い訳でもない…。

唇がセクシーでもない…。


地味…地味すぎる。


なのにりきやは


『可愛いもん!』


『魅力的…だよ。』


そう言ってくれた…。


「お世辞でも…嬉しいもんだよね…。」


分かってるもの…営業のリップサービスだって。


でも、その一言で私は、シンデレラになった気分なの…。



『Tokyo Love Culture Center』


ビルの入り口の階層表示には、こう表示されている。


10階の受付から、20階まで…全部占めている。


改めて見ると、凄いわよね…。


私は、入会費、諸経費が入ったバッグを抱き締めて、エレベーターのボタンを押した。



「こんにちは。陽毬様、ようこそ!お待ち申し上げてました。」


ヤマネさんが、相変わらず素敵な笑顔で、お出迎えしてくれる。


「こんにちは…。」


やっぱり…緊張!


ラウンジに通され、お茶を出して貰う。


「ヤマネさん…あの費用を持って来ました。」


「はい。早速有り難うございます。レッスン終了後に、会員証と受取書をご用意しておきますね。」


「はい…。」


その時


トゥルルルルルル…。


内線が鳴り、身体が小さくすくむ。


「はい…了解…。」


ガチャリと、受話器を置くと。


「陽毬様…レッスン室の準備が出来ました。」


「…はい。」


ゴクリ…いよいよファーストレッスン…。


待ってる人は…あの人だ!


私は、息を深く吐いて、ソファーから立ち上がった。



レッスン室でソファーに腰掛け、講師を待つ。


予約は前もって、講師のスケジュールとも合わせて、指定が出来る。


だから…一番最初のレッスンは、あの人がいいなと思ったの。


時間から5分過ぎると…ガチャリとドアが開く音。


「ご免なさい!少し遅れちゃって!」


その人は現れた。


急いで来たのか、息を切らしている。


「ううん…今日から宜しくお願いします…りきやさん!」


「陽毬さん!スクールに申し込みしてくれて良かった!担当になれて嬉しいよ!」


爽やかな笑顔で、微笑まれた。


キュン!


はぁ~会えたのも、言われてる事も、全部嬉しい!


りきやは、手に持っていた箱をテーブルに置いて


「今、お茶淹れるね。」


「うん…それは?」


りきやは、振り向いて、


「さくらんぼのショートケーキ!」


え…嘘…。


『次に陽毬さんが、来た時に用意出来たらいいな。』


本当に叶えて、くれたんだ。


「人気あるみたいだからさ、予約しといたんだ!買いに行ったら、渋滞にハマッちゃって~5分遅刻しちゃって、ご免ね!」


凄い、嬉しい…感激で、思わず涙ぐんでしまう。


「ううん…有難う!凄い嬉しい!」


「本当!?でも、遅れた分はまた、おまけするからね!」


りきやは、こっちに振り向いて意味深に微笑んだ。



さくらんぼのショートケーキに合うように、ダージリンでお茶を淹れてくれた。


「じゃあ、陽毬さんの初レッスンに!」


「ふふっ!有難う!」


私たちは、紅茶で乾杯をした。


ケーキを一口食べたら


「うっわ!本当だ!旨いわこれ!」


「でっしょ~!」


いつ食べても本当に美味しいけど、今日はまた格別な気がした。


「余分に買ったから、持って帰ってね!」


「えっ…いいの?」


「ケーキくらいじゃ、旦那さんにはバレないでしょ!」


りきやはまた、ウィンクをした。 


キュン…。


「そうだね…。」


旦那と一緒にりきやが買って来たケーキ食べるのって…どんな気分になるかな。


でも、旦那あんまりケーキ食べないか…。


「陽毬さん…口端にクリーム付いてる。」


「へっ!本当!?」


恥ずかしいな…ティッシュは~バックに取りに行こうとしたら、手首を掴まれ


「俺…取るから…。」


「え…取るって…。」


一瞬だった…りきやは舌先でクリームを舐め取った。


「ひゃっ!」


驚いて、思わず声が出る。


「ふっ…可愛い。陽毬さんの唇も、さくらんぼみたいだね。」


「へっ!そ、そうかな?」


そんな風に言われたこと無いから、いまいち反応に困るな。


照れ臭くて顎を引いたまま、視線を他に流すと


「ははっ!陽毬さん、人妻っぽくないね!」


「えぇ!どうして!」


人妻っぽいもよく解らないけど、色気が無いって事?


「ん~何か初々しくて…。食べちゃいたくなる。」


初々しい…やっぱりセクシーさが、足りないのかも!


自虐モードに、なりかけてたら


「食べたいな…陽毬さんのさくらんぼ…。」


「いいよ~。」


私はしょんぼりしながら、ケーキを差し出すと


「ふっ…じゃあ…頂きます。」


お持ち帰りもあるし…さくらんぼな時点で、お子さまっぽい…ん…違うっ!!


「んん~っ!」


りきやの口が、私の唇をすっぽり含み込み、クチュって吸われている。


「ん~ん~!」


唇をこんなに吸い込まれたのなんて初めてで、どうすればいいのか解らない。


本当に、食べられてるみたい!


思わず目を開けっ放しで、りきやをガン見してしまうと、瞼は普通に閉じられている。


睫毛、結構長い…とか思ったりした。


唇が、やっと解放され一気に息を吸う。


「はあぁぁぁ~。」


「はは!苦しかった?」


「う、うん!ビックリしちゃって!息の仕方が解らなくなって…。」


こうゆう所が、子どもっぽいのかな…。


「うんうん!大丈夫だよ。その内慣れるから。」


りきやは優しく、笑いながら言ったけど…


『その内慣れるから…。』


それは、こうゆう事が、しょっちゅうって事だよね…。


こんなんで私、大丈夫なのかな?


ドッドッドッ…心臓が爆発しそうになってるし。


「慣れるのかしら…。」


「うん…自然と、気持ちと身体が受け入れられる様になるよ。」


「気持ちと…身体…。」


「そう…じゃあ、レッスン始めましょうか。」


ドッキン…。


りきやは、この上なく魅惑的に微笑んだ。


レッスンが始まる…。


「は、はい!お願いします!」


カチコチな私の手を取って、今度は優しく微笑んでエスコートする様に立たせてくれた。


隣の部屋に続くドアを開けると…目の前にダブルベッド。


ドックン…。


いよいよなんだ…。


私が直立不動に、なってると


「陽毬さん、いきなり最後までとか、やらないから安心して!」


頭の中でも読んだかの様に、言われた。


「そ、そうですよね!」


「ソファーより、こっちの方が体制は楽に出来るからさ!ちょっと待っててね。」


私をベッドに腰掛けさせて、りきやは隣の部屋に戻った。


綺麗に白いシーツで整えられたダブルベッドを見てるだけで、ドキドキしてくる。


「はぁ…いよいよ始まる。」


これからここで…りきやと何をするんだろう。


考えると鼻血でも、出そうだわ!


「お待たせ。」


りきやは、食べかけのケーキを持って来た。


「あっ…はい…。」


ケーキは、ベッドのサイドテーブルに置かれる。


まだ、食べたかったのかな…?


そう思って見てたら、ケーキの上からさくらんぼを掴み、りきやの唇で挟んだ。


やっぱり、さくらんぼ食べたかったのね!


可愛いところもあるなぁ~なんて、笑いそうになった。


でもりきやは、さくらんぼを咥えたまま、私の隣に座った。


ギシ…ベッドが少し軋む。


そして、りきやの腕に肩を抱かれ、もう片方の手で顎を摘ままれ、口を少し開かされる。


「へっ?」


状況が飲み込めないまま、りきやの顔は近付いて、さくらんぼが唇に触れ…


「あ…あふ…。」


口移しで中に、入ってキタ…。


「ん…。」


唇は食むように揉まれ、お互いの舌で丸いさくらんぼを絡め、転がす。


「うふ…。んん…。」


両腕に力強く抱き締められながら、甘いキスはしばらく続けられた。



口の中に、さくらんぼの甘酸っぱさが広がっていくけど、自分のとりきやの唾液なのかも解らないくらい、混ざり合う。


「クチュ…クチュクチュ…。」


あぁ…キスだけで、イッてしまいそう…。


ピチャッ…音を鳴らし、濡れた唇が離された。


「はぁ…陽毬さん、大丈夫?」


「うん…凄い…気持ちいい…。」


ウットリ答えると 


「本当は、最初はキスまでだけど…また約束守れる?」


『約束』…つまり、おまけ。


「はい…。」


小さく頷くと


「ふっ…陽毬さんは、優等生だね。」


微笑みながらりきやは、私の服を脱がし始めた。


「あっ…。」


「下は、脱がさないから安心して…。」


上だけって事?


りきやの腕が背中に回り、プチッて、音と共に胸元が楽になる…ブラが外された。


「あっ!」


然して大きくない胸が、露にされる。


凄い、恥ずかしい!


両腕で隠そうとしたが、りきやに掴まれ左右に広げられ、胸が余計さらける。


「やっ!恥ずかしい!」


「大丈夫…胸の形も可愛いね。」


そう言ってりきやの顔が、胸に埋められた。


キスでイキそうになっていた感覚は、全身に伝わっていた様で


「陽毬さん…乳首もう硬くなってる…。」


「ひゃっ…!」


りきやの唇に乳首が、含まれるのを感じる。


チュ…チュ…吸われてる。


「あ…はぁ…。」


頭が更にクラクラして、下腹部がジンジンし始めた。


唇が離され


「陽毬さんの乳頭も、さくらんぼみたい…。」


と、サイドボードのケーキの生クリームを指に付けて、私の乳首に塗り付ける。


「り、りきやさん!?」


怪しく微笑み


「ここも、食べさせて…。」


「なっ!」


もう、このシチュエーションに、気絶しそうっ!


りきやは舌先で少しずつ、右胸に付けたクリームを舐め取る。


「あぁ…あっ!」


左胸は、指先で乳首を弄られながら、乳房はりきやの手のひらに包み込まれ、揉まれる。


ペチャ…クチュ…。


「ん…あぁ~!り…きや…さ…。」


舐めたり吸われたりを繰り返され、私はムズムズする腰を浮かせてしまう。


どうしよう!


されるがままでしかないけど、こんな事生まれて初めてで、恥ずかし過ぎる!


「ひゃっ!りきや…さん…ダメ…。」


すると舌の動きが止まり、顔を近付けて来て


「ダメ?陽毬さんのさくらんぼ、スゴく美味しいよ…ほら…。」


「あっ…。」


今度はキスをされ、クリームでりきやの唇が甘かった。


美味しいのは、貴方の唇の方だわ…。


私に堪能させるかの様に、舌を優しく絡める、根っこや歯茎を刺激する。


それでいて、胸は揉まれ続けている。


「んふ…ん…んん…。」


ダメ、たったこれしきでイッちゃいそう…。


身体全体が、りきやを意識して疼いて仕方ない。


クチュクチュと絡まる度に…コリコリって乳首を弄られる度に…アソコから溢れてくるの。


ムズムズして、太ももを擦ってると、りきやが唇を離し


「下…感じてるんだね…。」


「は…い…。」


優しく微笑まれたから、私は涙目で見詰めると


「まだ…直接は触れないから、下着の上からね…。」


そう言ってストッキングを丁寧に脱がし始めた。


ドキドキドキドキ…。


ミニ体験は、ストッキングの上からだった。


こんな薄いもの一枚脱いだところで、何か変わるかは解らないけど、りきやがする事全てが、私の本能を刺激する。


「は…あぁ…。」


ただ脱がされてるだけなのに…。


足先からストッキングが離れた瞬間、生脚が直接空気に触れる解放感と、パンティだけが唯一身に付けられている状況になった。


これはこれで、無性に恥ずかしい。


思わずギュッと目を瞑ると、りきやの吐息が耳元にかかり。


「触るね…陽毬さんの…大事なトコロ…。」


ドックン!


その一言だけでも、心臓が飛び出しそうだわ!


「あっ…!」


りきやの指は、太股を掠めながら徐々に秘部に近付くのが解る。


「ひゃっ!」


くすぐったいのと、疼くのと…ゾクゾクと背中を這い上がる。


そして…グッショリ濡れ浸る布の上から、私のアソコを優しくなぞり始める。


「あっ!あっ…。」


「陽毬さん…我慢してたんだね…。」


りきやはクスリ…と微笑んで、また唇を重ねて舌を絡めながら、指の動きを強くしてきた。


「んっ!んんっ…。」


声を出したくても、りきやの唇で塞がってるから、喉にこもる。


秘部は、下着の上からなのに敏感に反応してしまう。


りきやの指は、上下に強く押したり、下着の上を微かになぞったりと強弱が絶妙で、直接触られてなくても奥が何度も、キュッと締まってしまう感覚になる。


はぁ…おかしくなりそう…。


最初からこんなんで、この先のレッスンはどうなってしまうんだろうか。


やっと唇が離され、私は涙目で息を吐く。


「はぁはぁ…あっ…り…りきや…さん…。」


「ん~。どうしたの陽毬さん?」


凄く優しい声と表情なのに、指は凄く意地悪に動く。


「あっ!はぁ…おか…しく…なりそう…。」


必死で訴えたら


「ふっ…本当に陽毬さん…食べたくなっちゃうよね…。」


「えっ…?あっ!あぁあっ!」


またりきやの唇と舌が、私の硬く尖った乳首を翻弄する。


下は感じやすい、小さな突起を弄ぶ。


「いいよ…いっぱい声出して…スッキリするから。」


「あぁあっ!やぁっ…うっ!あはぁ~!!」


こんなに執拗に、胸を弄られた事は今までなかった。


アソコだって、こんなに焦らされた事はない。


りきやだからかな…触れられてる部分に、

全神経が集まってるみたいに過敏になる。


「あっ…あっ…りきや…。」


「クチュ…クチュ…。」


名前を呼んでも、聞こえるのは胸を口に含み、溢れる唾液の音。


「はぁ…はぁ…あっ!」


アソコは、指二本で突起と溢れる出るところを微かな感触を感じさせながら、上下に擦られる。


「りきやぁ…やぁ…。」


何度も突き上げる快感が、無意識に喉元を仰け反らせ、シーツを掴む。


ゆっくり撫で回される。


乳首を舐められ、下着の上からひたすら、優しく触られ続け…。


どれくらい時間が、経ったんだろう…私は、それだけで数回イッてしまった…。


「陽毬さん…感じやすいんだね。」


「そ…んなこと…ない…。」


旦那で、こんなに感じた事は無いもの…。


グッタリしてる私をりきやは、優しく抱き締めて


「陽毬さん…今日のレッスンは、ここまでね…。」


耳元で、小さく囁いた。


脱がされたストッキングも履いて、髪の毛もとかし身支度を整える。


「はぁ…今度から、下着の替え…持って来ないとだわ。」


下着は濡れたまま、まだ乾いてない…それがりきやと私の『密約』を意味する。


ドキドキする…。


ガチャリ…ドアが開くとりきやもパリッとスーツ姿に戻っていた。


さっきまで、外したネクタイも、袖を捲ったシャツも綺麗に直され、面影はない。


「陽毬さん、支度出来た?」


「はい…。」


紳士的に微笑まれると、さっきまでの行為とのギャップに戸惑ってしまう。


隣の部屋に戻ると、お茶と箱に入れた残りの、さくらんぼのショートケーキを用意してくれていた。


キュンッ!


はぁ~!旦那じゃ、こんなの絶対してくれないわ!


ヤったらとっとと、寝ちゃうだけだもん!


さっきのりきやみたいに、抱き締めてもくれないし…。


「有難う…ございます。」


「ははは~!畏まらないでよ!」


屈託なく笑われて、お茶を飲みながら心も身体も温かくなった。


ラウンジに戻って、次のレッスンの予約をする。


「陽毬様、お疲れ様でした。初レッスンはいかがでしたか?」


ヤマネさんの瞳は、何か見透かされてしまいそうで、『密約』を思うとドキドキしてしまう。


「はい…凄い、き…楽しかったです!」


思わず気持ち良かったと、言いそうになったわ。


チラリとケーキの箱を見て、優しく微笑み


「良かったです…。次の日時とレッスン内容を決めましょうか。」


「はい!」


「今日と同じ内容で、第一段階で講師を変えてもいいですし、次のレベルに行ってもいいかと…。」


ヤマネさんは、資料を見ながらカリキュラム説明をしてくれてる。


ちょっと気になり、質問をした。


「あの…レベルの判断って…どこでされるんですか?」


「はい、講師がレッスンの後にデータへ評価を記載するので、それがレベルと次の講師のレッスンの資料になります。」


「へっ!評価!」


「はい。カルチャーセンターですから。」


綺麗なお顔は、ニッコリ微笑む。


「そ、そうですよね…ははは…。」


セックスの通知表とか、貰っちゃったりするのかな?


戸惑いながらも、私は次のステップに進む事にした。


「では、また次回レッスンで、お待ち申し上げます。」


ヤマネさんは、エレベーターのドアが閉まるまで、最敬礼で見送ってくれた。


会員証と会費の受取書を眺め、もう引き返せないと自分に言い聞かせる。


右手には…りきやが買って来てくれたケーキを持って、私は家に帰って行った。


「ただいま。」


洗い物をしていると、旦那が帰って来た。


「お帰りなさい。先にお風呂に入る?」


「あぁ…ん、ケーキ?」


テーブルに多分、旦那の分も用意されたケーキを置いておいたが


「これ、美味しいのよ…食べる?」


「要らないよ、君が食べなさい。」


そう一言残して、着替えに階段を上がって行った。


「ふふ…予想通りね…。」


ちょっと、落ち込みながら載ってるさくらんぼを口に含み…舌の上で転がす。


クチュ…クチュクチュ…。


目を閉じると、りきやの絡めた舌と、甘い唇が蘇ってくる。


それだけで、胸の先と下腹部がジンジンと感じてきてしまう…。


「はぁ…次のレッスンは…どうなるのかな…。」


旦那のつれない態度をカルチャーセンターへの楽しみが、心を軽くしてくれた。

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