第8話 黒刃の暴走
愛鸞の意図とは無関係に、無力化され無抵抗であった
その
見事な斬れ味で
その証拠に愛鸞の右掌に収まった暗黒の剣は、自身の所有者に対して更なる殺戮と贄を訴求するかのように剣身をカタカタと震わせて………その右掌を通じて愛鸞を急かせるように激しい熱を伝え『もっと殺せ……もっと血を啜らせろ』と煽り立てている。
荒い息を吐いて
その視線の先に、薄物を引き裂かれ半裸となった少女が上半身だけを起こして……肉体を上下に別たれた
「アカンッ!!
お嬢ちゃんっ!
ここから早く逃げやっ!
早くっ!!!」
愛鸞の叫び声に躰をビクリと震わせた少女ではあったが、自分を襲っていた
「お………い!
お前は……俺を引っ張るなっ…………ちゅうねんっ!!」
フラフラと夢遊病者の如き歩みでこの場を立ち去ろうとする半裸で血塗れの少女、その後を抵抗虚しく引き摺られるように黒剣を携え
逃げる少女と追う(追わされる)愛鸞、気温と湿度が更に跳ね上がる午後の密林で繰り広げられた……人の生死が天秤に載せられた
少女と愛鸞の間へガサリと音を立てて闖入者が分け入って来たのである。
「オ前タチ、何ヲヤッテヤガル。
オレ達のオヤジ殿ヲ、ドコニ隠シヤガッタンダ!!」
見れば愛鸞が最初に
その視線を
「オ……オ前ガ………オヤジ……殿ヲ……
先頭に立つ
「まぁ……俺があの
せやけど、俺も自衛の為っちゅうか……おたく等の親父さんを
これは正々堂々の死合の結果ってことで………結果だけやなくて、途中経過も考慮の上で判断してくれたら嬉しいんやけど………」
特に詫びるでもなく事実を淡々と語る愛鸞、その内心には『異世界なんて場所で、日本人の謙譲の美徳なんてモンが通用するとは思われへんもんなぁ。
ここは謝罪せずに、事実から導き出される公明正大さに納得してもらう
愛鸞の言葉を聞いた
「良クゾッ!
良クゾ……アノ怪物ヲ
ヤツハ、ワレ等ヲ奴隷ノヨウニ酷使シ、喰イ物モマトモニ与エヌ暴君ダッタノダ。
黒キ剣ヲ振ルウ人間ヨ、オ前ニハ礼ヲ述ベルゾ」
深々と頭を下げた
その足が愛鸞の
「えっ?
いや……アカンやろ?」
愛鸞の呟きと同時に
【第8話 黒刃の暴走:完】
_________________
「ウフ……ウフフフフフフ…………。
血みどろの美少女と………呪われた剣を操る魔剣士…………。
虐殺者と美少女が………××××して………×××されちゃって…………×××××になってしまうとか……………背徳的で良いんじゃない?
これで………PVも……………★も…………ケタ違いの爆進を見せるんじゃないのかなぁ?
この
生理的な嫌悪感しか催さない下卑た笑い声と、聞こえる独り言の品性下劣さ加減に呆れ果てた愛鸞は………小さな声でボソリと何事か呟くと、絶対零度の世界に棲む生き物ならばこのような目線で他人を見るのだろうと想定されるような、冷え切って凍てついた表情をその両眼に貼り付けた。
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