第5話 転籍の地へ
愛鸞が眼を開くと、そこは生い茂る
気温は真夏の如き暑さであり、体感温度としては30℃を上回るような熱気に満ち
肌に衣服が張り付くような気配も感じられ、湿度についてもかなりの高さが
よくよく見ると周囲の植生も熱帯雨林の密林が想像されるような、青々と無秩序に枝葉を伸ばす見慣れぬ植物共が……相争うよう野放図に自己の生育範囲を奪い合っているような有様であった。
そして愛鸞はと云えば、通気性の良さそうな飾り気のない
そして身に纏う衣服の上からは、煮染めたような飴色に底光りする軽くて濃茶色の
その
「ふ〜ん……躰に装備しとる服やら鎧には何の違和感もないし、軽くて丈夫そうやっちゅう感想以外は特におかしな点は見当たらんなぁ。
さてさて……ハイリスクでハイリターンな
愛鸞が右
それは何故か猛毒をその
周囲の気温は30℃を超えて、高温多湿の熱帯の気候のようではあったのだが……………。
「な……何や……この柄は………。
ひんやりとしとるのに、グニャッとして……じっとり湿っとるがな………。
何か知らんけど、ドクドクっちゅうかビクビクっちゅうか
こんなモンが……ホンマに俺の望んだ
慣れぬ柄から伝わる感触に、愛鸞はその右掌を放すことはしなかったものの……そのままの姿勢で凍り付いたかのように身動きを止めて、目線だけはおっかなびっくりの
『個体名アラン・ウグモリよ……其方の手に在る剣を、其方に与えられし
其方に付与されし
愛鸞の
「ええぃっ!
ホンマ……アンタら
愛鸞の憤怒を含んだ声にも、激しく
「個体名アラン・ウグモリよ、其方の抗議については聞き届けたが、この
したがって……当該の通知に際しては、其方の頭蓋内へと
「ホンマに……何やねんっ!
アンタら
ああ云うたらこう云う……結局の所は、俺の話なんか聞くつもりもへったくれもあれへんやないかいっ!
俺にご用がございますれば……ちゃっちゃと
吐き捨てる愛鸞の声にも動じることなく、
『個体名アラン・ウグモリよ、其方に与えられし
その柄に其方がこの世界で初めて接触を果たしたことにより、其方と
そして
そして……
他の並行世界においては『嵐を
「そしたら……この
それもアンタの話によると、エサになる生命に敵味方は関係なしってことか?」
愛鸞の明け透けな質問に、
『そうだ、其方の手より抜き放たれた
その欲望を制御し、抑制することは其方への苦行となるであろうが……それが其方の望みであり、其方の求めし苦難であると認識される。
では……其方の使命が果たされ、其方が我の輪廻の輪へと参画する日を待っておるぞ。
さらばだ……個体名アラン・ウグモリよ…………』
その唐突かつ自分本位な
「ホンマに……これやから……神だの仏だの………自分が偉いとか尊いとか抜かす
手前勝手で得手勝手な言い分ばっかり抜かしやがって、腹立たしいにも程があるっちゅうねん。
せやけどこの……
戦闘態勢で抜いてしもたら……敵も味方も見境なしっちゅうねんから、下手こいたら
そやけど、あの
そいつみたいに敵を殺し回っとったら、俺も元気ハツラツ……みたいになるでっちゅうことなんやろか?」
右掌をまだ
【第5話 転籍の地へ:完】
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「良い……の………かな?
こん……な所……で………
まあ………こん……な…………マイ……ナーな………『カケヨメ』…………な……んて…………web………小……説サ……イトで異世……界転生……物を読…んで………る人間に…………マ……イケ……ル・ムア……コック…………を知って……る奴な………んてい……ないで………しょ?」
再びどこからともなく聞こえる途切れ途切れの声に、愛鸞は鋭く反応し………その昏き燃ゆるような視線を中空に投げ掛けた。
その視線の先に居る人物は、一瞬だけ愛鸞と視線が絡み合ったような気配を感じ……その
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