Ⅳ.ラブ・コメディアンは皓月千里を往く
ラブ・コメディアンは歩いている。
夜のしじまが満ちる中、
先導するのは、一羽の黒い
ラブ・コメディアンの黒い
その動きに合わせていくと、ラブ・コメディアンの足
「ジュ・デーム……、ジュ・デーム……」
大きな丸い月が
だが、しばらくすると、その光は
「ダイゴッコノスリキーレ……」
カラスが止まったのを見て、ラブ・コメディアンもその場で頭上を
月は
その想いに気づく者は決して多くはない。
ここでは、限られた命の
月が完全に戸を閉め、闇がさらに深まったその時。
目の前に全身が白く輝く、紫の長い髪をしたうら若き
「オーゥ、カイジャリ、スイギョーザ」
ラブ・コメディアンは
「一曲、
在るべき
ラブ・コメディアンは小柄な
カラスは仲間を呼ぶと、それぞれがテノールに、ソプラノに……と重ね合わせ、美しいポリフェニーで場を
だが、月が本来の輝きを取り戻していくと、
淑女は完全に消える前に、ラブ・コメディアンの耳元で
「いつか、貴方が私たちを救ってくれますように」
ラブ・コメディアンはシルクハットのつばを上げ目元を見せると、笑みをこぼす。
再び、星空に大きな丸い月が
ラブ・コメディアンは
彼女は上位存在により定められた、この星を終わらせるための鍵だ。
たとえ彼女が望まなくても、そう運命付けられている。
宇宙ダコの姫。
それが、彼女の
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