Ⅲ.ラブ・コメディアンは社交場を往く
ラブ・コメディアンは歩いている。
ここは、憎しみと怒り、そして悲しみが飛び交う
機械の力で空を飛んだ
「ジュ・デーム……、ジュ・デーム……」
ラブ・コメディアンはシルクハットを
金属が
「ダイゴッコノスリキーレ……」
銃弾がすぐそばをかすめ、戦車が死を踏み越える音は鳴り止むことが無い。
だが、ラブ・コメディアンにとってそれは悲しいかな、見慣れた営みでもある。
ただ、もう少し歩きやすい方が、好ましいものではあるけれど。
そんな中、
ラブ・コメディアンは
と、人には出せぬような強烈な
暗い
ラブ・コメディアンはそこに人の愛を感じなかった。
「オーゥ、カイジャリ、スイギョーザ」
シルクハットが落ちないように片手でツバを支えながら、軽やかなステップで必殺の一撃をかわす。
そして、このモノクロームの世界で唯一と言っていいほどの、色鮮やかな赤いステッキをくるり、と回転させ向きを変える。
あまりにも芸術的な一連の動作は、険しくも懐の深いアルプスの山々からポー川へと下ってゆくせせらぎのよう。
一瞬にして兵士の
「あ、あ、あ」
もはや袋となった兵士に、ラブ・コメディアンは目元をさらけ出し、優しく
たったそれだけで、どうしようもなく人間らしい光を再び瞳に灯した彼に、そっとお別れの
いつか、宇宙ダコが全てを終わらせた後の世界で、君と
それから、どれくらいの時を
そんな景色をラブ・コメディアンは
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