第70話 進行3
今は交互に寝てから、食事を摂っている。
場所は塹壕跡を利用していた。結界石は、便利だな。
「翔斗さん。雷魔法を遠隔まで伝えることは、できますか?」
ん? 何だろう?
不意に言われた。
「もう少し、詳しくお願いします」
「実演した方が早いですね」
そう言うと、華怜さんは、地面に剣先を突き立てた。
その剣の先から、雷魔法が放たれる。
一匹の蛇が地面を這うような形で、魔法が進んで行き、少しれた場所の岩に当たった。
そして、その岩が割れた……。
「……凄いですね。そこまで自在に操れるなんて」
今の俺ではできそうにない技術だ。
俺の雷魔法の操作は、一方方向にのみ流れを変えるしかない。
「この技術に雷樹を組み合わせれば、視覚と聴覚へのダメージも減ると思いますよ?
……なるほどね。さすが、上級職と言ったところだろう。
俺に必要な技術ということか。それと覚えれば、
「理解しました。教えてください」
華怜さんは、いい笑顔だ。
◇
とりあえず、塹壕跡を後にして、雑魚を居りながら森を進んで行く。
全行程の半分は進んだと思う。
華怜さんは、スキルを見せてくれるようになって来た。個人的な感想だけど、華怜さんは
近接のみならず、中長距離の遠隔攻撃、それとバフ・デバフ系のスキル……。何でもできると言っていい。回復がないくらいかな? まあ、薬品を大量に持っているので問題ない。
今は、俺の動きに合わせて貰っているけど、攻撃力だけでも俺よりも上だし。
いや、特執すべき点を上げるのであれば、機動力と体力なのかもしれない。
華怜さんは、森林の木々を蹴って、縦横無尽に動いている。
今は重鈍な俺に歩調を合わせてくれているけど、華怜さん一人の方が速く遺跡に辿り着けるんじゃないのかな?
そう思えるほど、レベルが違う。
それと、影魔法を習得しているので、魔石の回収も行ってくれている。
自分の影を落とした所にある物は、影収納に収めてくれているんだ。この森の中の魔石は拾う価値があるみたいだ。
俺は、華怜さんが足止めしてくれた魔物にハンマーを振るうだけ……。
これだけでも、俺一人より10倍は効率が良さそうだ。
「……そろそろ陽が暮れますね」
華怜さんが、木の枝から降りて来た。
「ここから先は、魔物が増えそうですか? 今までのように迎撃できるとは限らないのですが」
「昼間より、夜間の方が襲撃は多いのですよね……。魔物も変わって来ていますし」
華怜さんが考え出した。
「……とりあえず、結界石にも予備はあります。今日は休みますか?」
「俺は日の出まで動けそうです。その後、結界術を使って数時間休めば、また動けるようになります。
ただ……、囲まれるくらいの魔物が襲って来るので、その迎撃方法が決まっていないんです」
「まず、そこからですね。今日はここで足を止めて様子を見ましょう」
俺に反対意見はない。
華怜さんが、結界石を使用した。
とりあえず俺は、保険として足元に結界術を展開した。これで万全だと思う。
◇
日が暮れると、魔物の大群が襲って来た。
もう毎日同じだけど、今日は数が多過ぎる。結界石で安全地帯もあるのだけど、少しでも間引くことにした。
とりあえず、ハンマーを振るう。
「……これ、どうしたら良いと思いますか?
隠密スキルで抜けようかとも考えたのですが、囲まれてしまってスキルが解除されてしまいました」
「大規模魔法か、範囲攻撃があれば、対処できそうですけどね。
地面に雷魔法を撃って、四方八方に電気を流すとかできませんか?」
華怜さんは、目にも止まらない速さの剣で雑魚を屠っているけど、俺の質問にも答えてくれている。
とりあえず、やってみるか。 俺は、地面をハンマーで叩いた。
──ボコ
「……」
不発もいいところだ。ただ地面が陥没しただけとなってしまった。
「魔法はイメージですよ」
それを見た華怜さんが、笑顔でアドバイスをくれる。
「……とりあえず、練習は襲撃の合間に行います。アドバイスをお願いしますね」
「了解です!」
華怜さんは、屋敷で引き篭もっていた人と同一人物とは思えないほど、生き生きとしている。
スイッチが入ったのかな? パーティーを組めなかったと言っていたけど、俺とであれば行動を共にできるんだろうか?
まあいい。今は雑魚に囲まれている。とりあえず、掃討しよう。
俺は、無心でハンマーを振るった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます