第9話 新スキル1

 まず、カバンを回収した。

 期待して中身を取り出す。次々に地面に並べて行くと、それがあった。

 一枚の巻かれた紙を広げてみる。


「やった……。地図だ!」


 今一番必要な物だ。現在地が分からないで、まだ使えないけど、これで脱出の可能性が出て来た。

 それと、薬品類が各種。これらは、中身が分からないので使えない。

 最も嬉しかったのは、毛布などの布類だ。これで、色々作ることが出来る。

 他の物を確認して行く。


「これはなんだろう……、文字の書かれた金属のプレート?」


 文字だとは思うけど、読めない。

 チェーンの付いた金属のプレートに文字が掘られている。それが、大量に手に入った。それらを集めて山にしておく。


 その後、魔石を回収して回った。大小様々だが、MPの少ない俺には、命綱になる。魔石は、服についているポケットに仕舞えるだけ仕舞った。残った魔石は、集めて山のように積み上げた。

 ちなみに、一番始めの熊とクワガタの魔石は使い切っている。魔石は使い切ると、跡形もなく消えてしまう。

 これはありがたい。灰のように残った場合は、ポケットの掃除が必要だったからだ。

 徐々にだが、準備が出来始めた。

 だけど、まだ確信は持てない。もう一手欲しい。





 カバンに入っていたのは、地図と薬品、水筒と干し肉、料理道具各種だった。

 マントも手に入った。毛布は匂ったので、池の水をかけて、今は干している。

 水筒の中身は、一度捨てて、濯いでから使う。最悪煮沸すれば、飲料水を保管するだけなら問題ないはずだ。


「干し肉は、……食べられそうにないな」


 時間経過なのか、保存状態が悪かったのかは分からない。だけど、酸っぱい匂いがしたので、森に捨てた。

 とりあえず、キャンプ用品一式を手に入れられたのは、良かったと思う。

 それと、武器防具だ。

 武器は剣のみだけど、何本か魔力を帯びている物を見つけた。それらは回収する。

 防具は、色々と迷ったけど、チェーンメールと金属製の脛当てを選ぶことにした。

 フルプレートアーマーで防御重視にするか、軽装備で回避に専念するかで迷ったけど、回避を選んでみた。

 まだ出会っていないが、即死系の猛毒を持つ魔物がいた場合は、重装備でもアウトだと思う。それに、これからこの地を離れなければならない。重装備は選べなかった。

 最後にステータスだ。


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名前:ショート・シンドウ

レベル:347

HP:100

MP:101(+51)

STR(筋力):100

DEX(器用さ):10

VIT(防御力):70

AGI(速度):65

INT(知力):86(+51)

スキル:スマホ所持

ユニークスキル:裏当て

魔法:雷

称号:異世界転移者

スキルポイント:245

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「……ステータスごり押しよりも、今はスキルや魔法とかが欲しいんだよな」


 昨日は、幸運が重なっただけ。そう考えた方が良いと思う。

 それよりも、防御系や回復方法が欲しい。特に薬品みたいなのは、使えるかどうかも分からないし。

 ここで、またスマホが鳴った。


『魔石の中に、〈技能石〉が混じっています。割って使ってください。神様より』


 頭をガリガリと掻く。


「……技能石が何なのか分からないし、この山の中からどうやって見分けるんだ?」


 ため息を付いて、魔石の山を崩した。俺は、指示された通り技能石とやらを探し始めることにした。





「これかな?」


 一つだけ模様が書かれた魔石を見つけた。他の物と明らかに違う。

 未知の物だけど、躊躇う必要はない。今の俺に必要な物のはずだ。

 俺は、技能石を割った。


 頭に声が響いた。


『ステータスに〈スキル:結界術〉を付与します』


 ……説明はこれだけ? 解説なし?

 再度、ステータスを見る。


-----------------------------------------------------------------------

名前:ショート・シンドウ

レベル:347

HP:100

MP:101

STR(筋力):100

DEX(器用さ):10

VIT(防御力):70

AGI(速度):65

INT(知力):86

スキル:スマホ所持、結界術(NEW)

ユニークスキル:裏当て

魔法:雷

称号:異世界転移者

スキルポイント:245

-----------------------------------------------------------------------


 俺は、ステータスボードの〈結界術〉に触れてみた。

 頭に声が流れ込んで来る。


『空間魔法の一種。指定した空間に魔力を充満させることにより、自分に都合の良い空間を生成出来る』


 良かった、説明なしであったならば、死蔵させていたと思う。

 俺はさっそく、結界術の練習を始めた。

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