第7話 天敵

「ステータス」


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名前:ショート・シンドウ

レベル:102

HP:100

MP:50

STR(筋力):100

DEX(器用さ):10

VIT(防御力):70

AGI(速度):65

INT(知力):35

スキル:スマホ所持

ユニークスキル:裏当て

魔法:雷

称号:異世界転移者

スキルポイント:102

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 MPに触れてみると、数値が上がり、スキルポイントが減った。

 ポイントは、自由に割り振りが可能なのか……。

 成長の方向性は、自由に決められるのはありがたい。

 少し考える。 今は、一撃必殺のスキルがある。攻撃に割り振る意味はない。

 オーバーキルとなってしまう可能性がある。

 AGIとVITは比較的高い。

 だけど、そもそも怪我したら一発でアウトの状態だと思う。

 今の俺の命題は、いかに相手より先に攻撃を当てるかだ。

 DEXは低い。これは、『裏当て』の精度に関係しているのではないかと思われる。もしくは、攻撃の命中率か……。

 そして、INTか……。これは、魔法に関係すると考えられる。


 大きく息を吸い込み、深呼吸をした。

 俺は、MPとINTに半分ずつステータスポイントを割り振った。

 多分だけど、何かしらに特化した方が良いというのが結論だ。

 それならば、魔法特化にかけたいと思う。


 一撃必殺のスキルは持っている。

 あと必要なのは、相手の動きを止める手段だ。

 それは、物理的な罠であっても良い。そして、俺は魔法で罠を張ることに決めた。





 魔石を使い、雷魔法を試して行く。

 まず、全身に雷を纏ってみた。纏雷といったところかな。

 若干の防御力は上がったと思うけど、熊とかクワガタの攻撃を受ければ、紙の盾だな。

 ただし、俺から抱き着けば、スタンガンのような威力が期待出来る。

 一瞬の足止めもしくは、表面を焼く……。

 使う場面は、ないかもしれないが覚えておこう。


 今度は、ハンマーから雷魔法を放出する。

 結果は、射程距離は一メートルが限度であり、威力はそれほどでもなく、石の表面が少し焦げたくらいだ。

 これも使えない。


 ──ズズ


 ここで、何かの音を拾った。

 音の方向を向く。


「……気持ち悪い」


 とても大きい…、長高一メートル以上のナメクジだった。

 若干ひるんだけど、ハンマーを向ける。

 ナメクジは、『ジュル、ジュル』という音を立てて、ゆっくりと平地に入って来た。

 俺は池の水を掬って、投げかけてみた。

 だけど、効果が見られない。熊の時のように煙が上がらなかったのだ。


「まずいな……、初日だというのにキャンプ地に入られるのか」


 とにかく、この平地に入って来るのであれば、倒さなければならない。

 一撃必倒……。初撃が外れれば、防具のない俺は、反撃を受けて即死しかねない。

 罠も張れない。不意打ちも出来ない。おまけに池の水も効かない。

 結構ピンチかもしれないな。


 俺は、全神経を集中して、迎撃態勢をとり続けている。

 ナメクジは、ゆっくりと間合いを詰めて来ている。

 さきほどのクワガタには、攻撃を躱された。もう、失敗は出来ない。

 距離にして三メートルを切ったくらいだった。

 ここで、ナメクジに変化が現れた。頭の部分と思わる箇所が、変色して大きくなったのだ。


「なにか来る?」


 その場を飛び退いたら、液体が飛んで来た。地面が溶けている。

 ナメクジは、酸性の液体を噴射したのだと予想する。

 ナメクジに硬直があるのかは分からない。だが、俺はカウンターでハンマーを叩き込んだ。


 ──ビヨーン


「なぬ!?」


 ナメクジの体が大きく変形したが、破裂はしなかった。

 スキルの裏当ては、確実に発動している。

 ここで気が付いた。


「もしかして、軟体動物には、裏当ては効果がない?」


 ナメクジが方向転換して来た。

 幸いにも動きは遅い。俺はバックステップで距離をとった。


「はぁ、はぁ……」


 まずい。唯一の攻撃手段が効かない。そして、池の水も効果がない。

 ナメクジは、俺の天敵かもしれない。

 どうする? 熊の爪でも投げてみるか? いや、溶かされて終わりのような気がする。

 とにかく観察する。思考を止めない。

 そういえば、雷魔法は効くみたいだ。焦げた部分が、塵になって舞っている。

 試すか! 即断即決だ!

 俺は、クワガタの甲殻を使って、池の水を大量にナメクジにかけた。

 ナメクジは、びしょ濡れになる。これが、塩水であったならナメクジは小さくなっているのだろうな。

 まあ、ない物はしょうがない。

 俺は、魔石を使って雷魔法を発動した。そして、両手を地面に付ける。


 ──パリパリパリ


 雷は、水を伝ってナメクジまで届いている。こうなると、ナメクジのHPと俺のMPとの勝負だ。

 魔石でブーストしているとはいえ、俺の魔法はまだまだ威力は低い。

 時間にして一分くらいだろうか?

 俺のMPが尽きた。

 ハンマーは効かないことは、分かっている。

 後俺の残っている手段は、熊の爪かクワガタの大あごで突き刺すのみ。

 刃物は正直分からない。俺にナメクジを切り裂けるだけの腕前があるんだろうか?

 再度、距離を取り、俺はクワガタの大あごを手に取った。

 だが、意外なことに、ナメクジはここで塵になって消えた。

 その場に座りこむ。


「一撃必倒と思ったけど、そうでもなかったか。もう一度考える必要があるな……。最重要項目は、魔法による足止め、もしくは罠だな」

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