第4話 準備2
「衝撃を浸透させる……、ですか? 寸頸? 浸透頸? ワンインチパンチ?」
「打点を内部に浸透させると考えてください。今はそのイメージだけ持てれば、異世界転移後に考えなくても発現出来るようになります」
その後、数種類の映像を見せられた。
おそらく格闘技の有段者と思われる人が、数人を吹っ飛ばしたりしていた。
だけど、意味が分からない。これが、俺のスキル?
「裏当ては、俺の人生に何か関係があったのですか?」
「明確には言えませんが、覚えていれば違う人生を歩めていたでしょう」
この言葉から、いくつかの推測が成り立つ。
両手の怪我を負わなかったか、軽度で済んだあたりかな? もしくは、格技系の部活に入っていた可能性も捨てきれない。
いや、考えても意味がないか。
この女性は、時間を戻すとは言っていない。俺にとって最も望む人生は、父親が亡くならない人生だった。
それは、叶えられないんだと思う。
とにかく、魔物を討伐し続ければ、母親と妹の負担が楽になる。
大きく異世界に貢献出来れば、元の世界に帰れるかもしれない。
それだけ分かれば良い。
「魔法とユニークスキルは分かりました。あと他には何か頂けるのでしょうか?」
「武器は、何を選びますか?」
ああ、そうか。素手で行くところだった。討伐が目的なんだ、武器は必要か。
ここで考える。銃の効かない世界だと言った。物理法則が異なるとも。
武器は、近接戦闘が良いと思う。ただし、剣術等の技術の必要なものは、向いていないとも思う。
それと、俺のユニークスキル……。刃物、投擲や射撃では、効果を発揮しない可能性がある。
先ほどの映像を思い返す。
「打撃武器……、棒みたいな物はありますか? 中距離になるのかな? 長い物が欲しいです」
俺がそう言うと、目の前に武器が現れた。種類がとても多く、何十本もある。
「古今東西の棍術用の武器を集めました。棍、杵、鎚、錫など、好きな物を選んでください」
ここが一番重要かもしれないな。時間をかけて選んで行く。
◇
「……これにしようか」
俺の身長よりも少し長いくらいの戦鎚……、
「ふむ。良いでしょう。でも一個で良いのですか?」
そう言われてもな。異世界がどういう状況かも分からないのに、大量の武器を持って行ってもしょうがないと思うのだけど。
そう思うと、俺が選んだ一本のハンマー以外の物が消えた。
そして目の前に、一本の棍棒が現れる。本当に戦闘用と言った感じだ。
「西洋で使われていた
……時間をかけ過ぎたのかもしれないな。選んでくれていたか。
それと篭手はありがたい。いや、俺には必要な物なんだろう。
「これで終わりでしょうか?」
「……三日分の食料と水も用意します。お金は、魔物の素材を売って稼いでください。特に魔石と呼ばれる石は、高値で取引されます。有用ですので、使うことも勧めます」
余りにも不用心ということか。知識がなさすぎるんだろうな。
今の俺は、何も持たずに外国に旅行に行くようなものかもしれない。いや、何も知らずにか。
目的は、魔物の討伐……。心配していてもしょうがない。
元々終わった人生だ。このチャンスにかけよう。
それと、最後だ。
「……物資は、分かりました。ありがたく受け取ります。それと、最後に質問しても良いですか?」
「なんでしょう?」
「あなたは誰ですか?」
「……私は、神様と呼ばれています」
これが神様か。イメージと違うな。いや、見たことないのだから当たり前か。
「それでは良き旅を……」
そこで気を失う。
◇
ステータス
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名前:ショート・シンドウ
レベル:1
HP:100
MP:50(+50)
STR(筋力):100(-50)
DEX(器用さ):10
VIT(防御力):70
AGI(速度):65
INT(知力):35
スキル:スマホ所持
ユニークスキル:裏当て
魔法:雷
称号:異世界転移者
スキルポイント:1
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