第3話


放課後になった。


私はいつも通り、稔くんと帰ろうとする。


だけど稔くんは、ちょっと嫌そうな顔をしていた。



「どうしたの?」


「すまん五木、今日は別々に帰ろう」



私の反応を聞く間もなく、稔くんは走って帰ってしまった。


昼休みの件を気にしているのだろうか。


仕方がないので、私は一人で下校することに…。


通学路は、学校を出て10分ほど歩いたところにある、学校最寄りの駅まで行く。そこから電車に乗って二駅目で降り、また10分ほど歩いたところに私の家がある。


ちなみにだが、稔くんとは学校から二駅先の最寄駅から、歩いて大体5分くらいの交差点でお別れだ。


いつもは稔くんと会話をしているためか、すごく短く感じる学校から駅。だけど、今日はすごく長く感じた。


駅に到着すると、いつも通り改札を通りホームへ向かう。それから乗車位置に並び、電車が来るのを待つ。


今日は通過電車を待ってから、乗車する電車が来るみたい。


並んでから5分もしないうちに、電車が通過するようだ。大きな音と共に、その旨の放送が流れる。


私はスマホをいじりながら、そのまま乗車位置で立っている。もちろん黄色い線の内側だ。


だけど、今日は不運だった。


後ろを通る男性にぶつかられ、その反動で頭から前にバランスを崩してしまった。


大きな警笛の音が鳴る。


気づいたときには、もうバランスを立て直すことはできなかった。

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