(四)-3

 五メートルほどところで倒れた妹の所へ駆けてきてすぐにしゃがみこんだ。妹の背中に手を入れて抱き起こそうとした。そのさい、さらに銃声がした。一発の銃声の後に、連射音がした。そして暗闇の中で人が倒れる音がした。

 僕はそんな周囲の状況などまったく耳に入らず、ひたすら妹の名前を呼び続けた。

 彼女の服には血が付いていなかった。背中を撃たれたのだろうか。


 何度も声を上げていると、僕の背中にそっと手を当てる感触があった。僕の体がビクッとした。


(続く)

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