(四)

 僕は何とか立ち上がることができた。不思議と肩の痛みは感じなかった。

 人影が妹の方を見たのに気づいた。それはまずい!

 今は何よりも妹を逃がさなければならなかった。なんとかしてこの人影の注意を自分の方に向けさせなくてはならない。

 どうするかと迷った次の瞬間、人影が僕の方を見た。そしてナイフを振り上げた。僕は叫び声を上げた。そして人影に体当たりしようとした。

 そのとき銃声がした。二発鳴った。僕は妹の方を見た。暗い中に妹が倒れていた。

 僕は再び叫び声を上げた。そして妹に向かって走り出した。


(続く)

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