(三)

 妹にはすぐに追いつくことができた。しかしそこにカティアの姿はなかった。

「カティアは?」

「兄さんと一緒じゃなかったの?」

 僕は無言で返事をした。カティアはどこへ行ったのか。

 僕はカティアの名前を呼んだ。なるべく声を潜めて、かつ周囲に聞こえるように。しかし返事はなかった。てっきり妹と一緒にいると思ったのに。

「兄さん、とにかく早く逃げなくちゃ」

 僕はすぐに彼女の手を取り、急いで森を進んで行った。カティア、無事でいてくれよ……。


(続く)

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