(二)-14

 後ろで草木がこすれる音がわずかにした。僕は後ろを振り返った。逃げ去る影を見た。人影だ。背の低い人間だった。

 人影はジャンプするように暗闇の奥へと消えていった。

 僕は追おうと前に踏み出た。それと同時に銃声が聞こえた。すぐ背後で弾丸が空を切って飛んでいく音が聞こえた。

 僕が振り返ると、人影がいた。僕がその姿を捕らえると同時に人影は左右へ交互にジャンプするように暗闇の奥へと消えていった。

 人影は二つだった。敵は二人組だけなのか。それとももっといるのか、まったくわからなかった。

 僕はともかくすぐに進むことにした。残るのは僕とカティア・イラクリ、それと妹のエリザベートだけだった。妹たちはこっちにいなかった。だからきっと、先に川の方へと進んで行っているはずだ。

 だから僕は妹たちの後を追った。


(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る