(二)-12
僕たちはすぐにその場でしゃがんだ。敵はどこにいるのか。見えるわけないが、周囲を見回した。パッと見た感じでは静かな森の中であり、それ以上でも以下でもなかった。
「やだ、怖い」
ニーナ・プリマコフが言った。隣りいたニーナのボーイフレンドのセルゲイ・ヴァフタングが、彼女の肩を抱きしめて「大丈夫、俺が絶対守る」とささやいた。
「兄さん、どうするの?」
妹であるエリザベートが聞いてきた。表情はよく見えなかった。ささやき声であったが、しっかりした感じの声だった。こいつだって怖いはずだ。でも迷いはないようだった。
「行くしかないよ」
カティア・イラクリが言った。僕たちは無言で頷き合い、進むことにした。実際に敵はすぐそばにいる。ここに留まっていてもただ殺されるだけだ。迷っているヒマはなかった。
(続く)
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