(二)-10

 僕もそちらを見た。そこには右手で左肩を押さえた姿で、木の幹に背中を預けるような状態のイルマ・ショータが座っていた。

 最初の犠牲者は鎖骨と首の間から長いナイフを押し込まれたらしく、首の傷から血が噴き出し、血まみれになっていた。

 僕が体を揺り動かすと、傷口から血があふれ出てきた。まだ刺されて間もなかった。

 つまり、敵はすでに近くにいる。僕が立ち上がると、周囲には仲間たちが集まってきているのに気づいた。暗闇の中で、その表情が恐怖でこわばっている事にも。甘かったのだ。僕たちの考えは。


(続く)

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