(二)-7

 僕たちは、幸いその光景をバスの窓ガラスの内側から見る立場を維持できて、無事だった。しかし、僕たちの誰かが彼と同じ運命をたどる可能性はあった。

 僕たちはその後、一言も言葉を交わすことなく、バスに揺られていった。



 バスは夕方のうちに国境の手前にあるカゴディヒの町に到着した。

 僕たちは町中に数軒しかないホテルに偽名でチェックインし、夜を待ってから部屋を抜け出した。

 「情報屋」の話しだと、山に入って一〇キロほど進み、国境の川を渡るのが安全だろうとのことだった。


(続く)

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