383話 罰ゲーム
メイ達が屋敷に到着するとすぐにカレンが出迎えた。
「メイ、お父様、おかえりなさい。」
「ただいま、カレンちゃん。」
「大変な事が起きたみたいだけど大丈夫だったの?」
「見ての通りピンピンしてるさ。」
「嘘つかないでください。ちゃんと休まないとポックリ逝っちゃいますよ。」
「縁起でもない事言わないでよ。ちょっと休めばすぐに働けるようになるさ。」
「もう、お父様ったらみんなに心配かけちゃダメじゃない。」
「気をつけるよ。それはそうとメイ君とプレゼントを用意したんだ。どちらがカレンちゃんを喜ばせることができるのか勝負しているんだ。」
「お父様、大人気ないわよ。」
「ガフッ!」
「それでもありがとう。どんな物でも嬉しいわ。でも、なんでメイがプレゼントを?」
「勝負を持ち掛けられたなら受けないという選択肢はありませんから。」
「うん、ちょっと何言ってるのか分からない。」
「そんな細かい事は気にしないで早速勝負と行こうじゃないか。私のプレゼントはマグカップだよ。装飾品よりもこういった日常で使える物の方が喜びそうだと思ったからね。」
「猫ちゃんのマグカップだわ。カワイイわね!」
「そうだろう、そうだろう。この勝負、私が貰った。」
「勝ちを確信するにはまだ早いですよ。私のプレゼントはクシです。カレンは髪の毛を伸ばしていますからね。必ず必要なはずです。それに華美な装飾が施されている訳ではなく、模様がキレイというのもポイントです。」
「確かに、虹色になっててキレイだわ。どっちも嬉しいじゃダメ?」
「「ダメ」」
「う、うーん」
カレンが悩んでいると、サキがやって来た。
「何やってるのよ。」
「サキ、お父様達がどちらのプレゼントが良いか選んで欲しいって言われて悩んでいるの。」
「何やってるんだか。でも、昨日マグカップ割っちゃったし、ちょうどいいじゃない。旦那様の勝ちって事で。」
「え!?」
「メイさんどうしたの?」
「フフフ、やはり私の勝ちのようだね。」
「そんな…この私が…」
「罰ゲームでもやるような絶望具合ね。」
「メイ君自作の激苦栄養ドリンクを飲むんだ。」
「それはイヤね。」
「頑張りたまえ、フハハハハ!」
「く、仕方ありません。」
激苦栄養ドリンクを用意したメイは小さなコップに半分ほど入れる。
「待って、色ヤバイでしょそれ。」
「ちょっと1口いいか?気になる。……!」
そう言って指に少し着けたドリンクを舐めたカイトはあまりの苦さにもんどり打って倒れた。
ビクビクと震えながら白目を向いて倒れている姿はモザイク必須の形相だった。
「…」
辺境伯はメイの肩に手を置き、一言
「グイッと逝っちゃおうか☆」
メイはいつか必ずやり返すと誓ってドリンクを一気飲みした。
ひと舐めで白目を剥くほどの物を一気飲みしたのだから当然、メイも失神したのだった。
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