384話 犯人
「はっ、あれ?私は何を?…そう言えばドリンクを飲んで…必ず」
「起きたの?気分はどう?」
「最悪な気分です。舌の感覚が無いような?とにかく、辺境伯様には必ず仕返しをしてやりますよ。」
「不毛な争いはやめなさいよ。」
「いいえ、必ずあの性悪に一泡吹かせてやります!」
「あの罰ゲームメイが提案したんでしょ?なんでそんな罰ゲームにしたのよ。」
「あれは薬を作っている時に偶然できた物なんです。魔法で調べたら栄養満点でとても吸収効率が高い薬品だと分かりました。それ以外は作った私もよく分からないんですよね。」
「なんて物を飲んでいるのよ。」
「原液があそこまでエグ味と苦味のオンパレードだとは思いませんでした。」
「バカなんじゃないの?」
「耳が痛いですね。」
「1週間ぐらい休んでるけど魔法はまだ使えないの?」
「そうですね。こんな風に魔力を送っても霧散するだけで…」
「メイ…それ!」
「え?…あれ、使えてますね。」
「もっと驚きなさいよ!きっかけは栄養ドリンクかしら?」
「それはそれでイヤなんですけど。」
「そんな事どうでもいいわよ。良かったわね。」
「そうですね。あの罰ゲームがきっかけかもしれないというのは釈然としませんが、魔法を使えるようになったのは喜ばしい事です。」
「色々とすごかったね。」
「久しぶりに魔法を使いますし、慣らしに呪いをかけた犯人に会いに行きましょうか。」
「誰が犯人なのかしら?」
メイが呪いの反応をたどると、犯人は学園都市内にいる事が分かった。
「結構近かったわね。」
「そうですね。てっきり遠くに逃げているかと思ったんですが。」
「じゃあ、早速出発するわよ!」
街の路地裏や家の隙間など人気のない場所ばかり移動している。
メイは先回りして犯人がやって来るのを待ち伏せする。
「来ましたね。」
「でも、人なんてどこにもいないわよ?」
「呪いは人だけが使えるという物ではありません。あの犬が今回の犯人ですね。」
「犬?でも、あの子犬は魔力を持っていないわよ?」
「隠蔽に長けた種類なのでしょう。今だからこそ感知できますが、最初に接した時は私も気づけませんでした。」
「あの子犬を知ってるの?」
「前に噛まれたんですよ。すぐに治るので気にしていませんでしたが、その時に呪いを仕込まれていたのでしょう。」
警戒されていると感じとったのか犬はメイを威嚇して唸っていた。
「どうするの?」
「当然、排除します。少し衰弱させる程度の呪いかもしれませんが、身体が弱い人間がかけられた場合命に関わります。死人が出る前に討伐してしまうのが最善でしょう。」
メイが殺気を放ち剣を向けると、犬は騙しきれないと判断し本来の姿を現すのだった。
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