381話 猫の手も借りたい
「最近寝ていないようですが、忙しいんですか?」
「メイ君か。とっくに帰ってたのかと思ってたよ。」
「カレンに会いに行くのでしょう。なら一緒に行った方が手間が省けますから。」
「そうかい。魔族が攻撃してきた時、我先にと逃げ出した貴族の役職を解任したんだけど、人手が足りなくてね。シワ寄せが私にまで来てるんだよ。」
「倒れたら元も子もないじゃないですか。書類の整理くらいなら手伝いますよ。」
「今は猫の手も借りたいくらいだから助かるよ。」
辺境伯から指示を受けて整理していく。
「これって私の事探ろうとしてます?」
「ん?ああ、それか。そうなんだよ。君が戦っていた場面を見ていた人がたくさん居たみたいで、あれは誰なんだってうるさいんだよ。知らないって言ってるけどね。」
「そうなんですか。」
「1番気にしてるのは勇者君だね。あの時、私たちは彼らには荷が重いと思ってね、戦いには参加させなかったんだ。そのせいで責任を感じてるみたいでね。」
「その判断は正解だったでしょう。彼らでは魔王には勝てません。もう少し経験を積まないといけませんね。」
「君の知り合いに盾を使える人いない?今の勇者パーティは剣士の勇者君と魔法士と聖女君という偏ったパーティだからね。もう1人前衛で戦える人が欲しいんだ。」
「組織の人紹介しますか?」
「さすがにやめてくれ…君の弟子はどうなんだ?」
「一応聞いておきますけど、期待はしないでくださいね。」
「聞いてくれるだけでもありがたいよ。信用出来て強い人となるとなかなか居なくてね。」
「仲間探しが難航しているんですか。」
「そうなんだ。考える事が多すぎて頭が痛いよ。」
それから黙々と作業を続けた。
「やっと終わったね。もう朝だ。」
「お疲れ様です。私はやる事ほとんど無かったので少し暇でしたよ。」
「ハハハ、そうかい。私は少し休んでくるよ。」
「おやすみなさい。」
辺境伯は起きてすぐに整理された書類を持って出かけて行った。
とても憂鬱そうな顔が印象に残ったが気にしない事にしたメイだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます