380話 戦神
神域で事件の一部始終を見ていた聖神は胸を撫で下ろしていた。
「ふう、あの者は魔王を退けられたか。」
「よう、爺さん。」
「ソナタはカリオルではないか。戦神ともあろう者がどうしたんじゃ?」
「なんだ、用がないと来たらいけないのか?」
「この1000年間会いに来なかった癖に急に来るからじゃろうが。」
「細かい事言うなよ爺さん。」
「ジジイと言うでないわ。それで、本当に用は無いのか?」
「さっきの戦いは凄かったな。俺の信徒なら良かったのに。」
「やらんからな。」
「勧誘くらいさせろよ。」
「ダメに決まっておるじゃろう。彼女はワシの使徒じゃぞ。」
「あの娘は魔法を使っていなかったが、使えないのか?」
「誰の仕業か分からぬが呪いを掛けられておるようじゃな。そのせいで魔法が使えなくなっておる。」
「そんな状態であそこまで戦えるとはな。ところで、呪いを解かないのか?」
「解呪しようとしたが出来なかったというところじゃ。ワシもあの呪いが誰の仕業か分からぬ。得体の知れない術に深入りして呪いの影響を受けることを避けたようじゃ。」
「なるほど、解呪出来たら一度手合わせしたい物だ。」
「バカ者、そんな事をすればあの者が死んでしまうわい。神格を持っているかどうかは大きな差じゃ。」
「それは残念だ。強者と戦うのは武人の誉れであるのに。それにしても、俺もあんな使徒が欲しいぞ!」
「自分の信徒から探すが良い。」
「あんなに骨のある信徒がいないんだよ。」
「あんなのがそこら辺にいてたまるか。」
「口調変わってるぞ。」
「おっと、すまんの」
「使徒がいて勇者がいて、戦力が過剰じゃないか?」
「過剰なものか。今回は今までと違うのじゃ。彼女は今までもこれからも出現する事はないほどの強者であり、魔王も同じじゃ。勇者だけでは蹂躙されて終わるのじゃ。」
「どうしてそんな事になったんだ?」
「聖と魔の戦いを終わらせるべきだと思ったんじゃ。」
「長い事やりあってるからとはいえ、少し強引なんじゃないか?」
「争いを無くすためにもっとも有効な手段を知っているかの?それは争いに疲れさせる事じゃ。ワシらがどうしようとも争いは無くならぬ。それならば気が済むまで争わせればいいのじゃ。」
「そのために2人を利用しようってことか。」
「そうじゃ。あの2人が本気で戦えば被害は甚大なものになり、両者に大きな爪痕を残すじゃろう。それを体験した者はもう戦おうと思わないじゃろう。タイミングを見計らってワシら神が神託を下せばいいという事じゃ。彼らの生死は差ほど重要ではないのじゃ。」
「俺は戦ってばかりで小難しい事は分からねえ。でも、これだけは言える。…苦しくはないか?」
「苦しくはない。ただ、悲しいだけじゃ。こうなったのもワシらに責任がある。ならばなんとかして解決するのがワシらの責務というものじゃ。」
「そうか、そういう事なら協力するぜ。」
「目下の目標は魔族の目的である
今後の打ち合わせをして解散する二柱の神達だった。
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