377話 決死の想い
「あれ、どうやって撃ち落としましょう?」
上空で浮かびながら魔法を詠唱している魔王と後ろに控えている2人の魔族をどうやって倒すかを思案する。
上を見上げていると10発ほどの魔法が打ち上げられた。
その魔法を控えていた魔族が防ぐ。
「誰があの魔法を?」
メイは高い所に登って周りを見渡すと、その魔法は王城から放たれているらしい。
「意識が城にいっているのなら不意打ちができそうですね。」
そう言うとメイは金属の柵にある縦の棒を外して思い切り投げた。
投げられた金属の棒は魔族の背中に命中し、1人を落とす事に成功した。
「もう少し、上でしたか。もう1発、えい!」
今度は魔王を狙う。
魔法を防ぎながらとんでもない速度で飛んでくる棒を防ぐというまさに無理ゲーと言いたくなるような状況、このまま行けばもう1人も倒せるという所で魔王は詠唱を中断し、同胞を助けた。
魔王はそのまま王城へと降りていった。
「この俺に詠唱をやめさせるとは、やるではないか。気が変わった、俺と戦う権利をやろう。」
「何としてでも食い止めろ!時間を稼ぐのだ!まだ希望はある。」
「希望はあるだと?ハハハ!この魔王を倒せる存在がいるというのか?」
「当然だ。メイ君なら、彼女なら貴様程度簡単に倒せる。」
「ほう、ソイツはどこにいる?貴様らを殺した後ソイツも殺してやろう。」
「やれるものならやってみろ!」
辺境伯が決死の想いで戦っていた頃メイは王都の外で墜落した魔族を探していた。
「どこに落ちたんでしょうか?」
『城に行かなくても良いのか?』
「城には勇者もいますし、辺境伯様には色々持たせてますから、時間を稼ぐくらいなら大丈夫でしょう。それよりも、どうしてこのタイミングで攻撃をしてきたのかが気になります。」
『魔族達は何やら準備をしていたようじゃが…』
「魔獣の封印を解くための準備でしょうか?しかし、神を封じる事のできる封印をどうにかできるとは思えないんですけど。」
『うむ、少しづつ破壊しているのかもしれぬな。』
「あ、いた。」
草むらに倒れていた魔族を見つけて近寄る。
「死んでないですよね?急所は外れてますし、大丈夫ですね。」
「貴様、俺を殺しに来たのか。」
「私の質問に答えてくれるなら安らかな死を与えましょう。どうです?」
「敵に情報を与えるバカがどこにいる。グアア!」
「身体に剣が刺さって痛いでしょう?苦しいでしょう?ほら、さっさと楽になりましょう。」
「ふざけるな!この程度の痛み」
「はぁ、こんな事で時間を使うのはもったいないですね。魔王の他にもう1人いましたし、そっちに聞くとしましょう。」
メイは諦めて城に向かった。当然その背後には首を落とされた死体が横たわっていた。
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