291話 聖女
剣姫祭から数日が経った頃、なぜか学園長室に来るよう言われた。
「お前、なんかやったんじゃないだろうな。担任の俺も怒られるんだからな?」
「清々しいほどのクズっぷりですね。でも、何もしてないと思うんですけど。少なくとも証拠は無いはず…」
「お前怖いって…」
学園長室に入ると、学園長ともう1人法衣を来た少女がいた。
「学園長、連れてきましたよ。」
「ご苦労様、座りたまえ。」
「申し訳ないのですが、2人にさせてもらえないでしょうか。」
「これは気を利かせられんで申し訳ない。では、ワシらは退散するとしようかの。」
学園長とダニエルが出ていった部屋の中で少女と向き合う。
「お座りください。急に呼び出してしまい、申し訳ありません。」
「あなたは?」
「
「なぜ、聖女様が?」
「主のお導きにです。主からは使徒様の特徴とお名前、所在を教えていただきました。」
「それで私を呼んだと。」
「はい、剣姫祭の戦い振りを見てあなたが使徒様だと確信いたしました。」
「聖神が協力者を作ると言っていたのはあなただったのですね。」
「恐らくはそうなのでしょう。使徒様のことを知っている者はおりませんでしたから。」
「その使徒様と言うの、やめませんか?使徒とバレるのは面倒ですし、私は様で呼ばれるほど偉くはありません。」
「ですが…分かりました、メイ様。、
「…それで、私に接触した理由は?」
「使徒様の使命のお手伝いをさせていただきたいのです。」
「私には必要ありません。」
「しかし…」
「意地をはっている訳ではありません。本当に私一人で十分なのです。あなたは聖術の扱いがとても上手いと聖神から聞いています。私と行動するよりも、もっと必要とされている役目があるでしょう。」
「そうですか…」
「勇者と行動を共にするのはどうでしょうか。勇者は現在共に戦う仲間を求めていると聞いています。」
「分かりました。勇者様と1度お会いして、決めたいと思います。」
エリサはそう言うと一礼して部屋を出ていった。
『せっかく仲間に引き入れようと思っておったのに、もったいないことするのう。』
「何言ってるんですか。あんな良い子が私のしている事を見たら卒倒してしまいますよ。」
『まぁ、ソナタのやってることって犯罪ギリギリどころか普通にアウトの事も多いようじゃからな。』
「勇者には私も期待しているんですよ。それに彼は善人ですから、聖女とも上手くやれるでしょう。」
『ソナタが動けない時も魔族に関する事件を解決しておるようじゃぞ。着々と力をつけてきておる。』
「それは良かった。私がお役御免になる日も遠くなさそうですね。」
『まだ、上級魔族には勝てんからソナタが必要なくなるのは当分先じゃぞ?』
「ええ〜」
『頼みの綱の勇者が倒されないように、これからも頑張るのじゃな。』
「他人事だからって、このエロジジイめ…!」
『ホッホッホ、褒め言葉じゃな。』
「〜〜〜!」
地団駄を踏むメイだった。
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