292話 打ち合わせ

「お久しぶりです。殿下」

「メイ嬢じゃないか。どうしたんだい?君が突然来るなんてロクなことがなさそうだけど。」

「私も突然のことで驚いたんですけど、聖女がこの国に来ています。」

「聖女がこの国に来ているだと?」

「そうなんですよ。昨日、学園まで私に会いに来てたんですよね。」

「何しに来たんだ?」

「私が使徒だと知って来たらしいです。私の事を手伝いたいと」

「なぜそんなことになっているんだ…了承したのか?」

「いいえ、私には必要ないので断りました。その代わりとして、勇者を勧めました。ちょうど、パーティメンバーが欲しかったのではありませんか?」

「まあ、現在の勇者パーティはAランクパーティに金を払って勇者を加えているからね。いつかは解散させなければならない。そこに聖女が入るとなると…まあ予想外ではあったが、いいんじゃないか。」

「数日の内に聖女から接触があると思います。その時は、良くしてあげてくださいね。」

「分かっているとも。勇者パーティの一員となる人物に政治的な要素を持ち込むのはタブーだからね。少なくとも、勇者パーティに入っている間は」

「そうですね。私の方は王国の北部で大規模な狩りをするつもりです。とりあえず、軍を動かないようにしてください。来られると邪魔です。」

「はぁ、やる時期は?そこら辺の調整は面倒だから、時間があるとありがたいんだが」

「遅くとも1週間後です。」

「これから送る人間を決めないといけないのに、1週間?君はこの国の大きさを知っているのかな?」

「敵が動けば私も動くので、1週間以内でお願いしますね。」

「なおさら正気を疑うね。無理だって…」

「殿下が行けばいいのでは?」

「それは…どうしよう、それが最善の気がする。」

「じゃあそういう事なので、お願いしますね。」

「相変わらず、無茶ぶりを仕掛けてくるね。」

「褒めないでくださいよ。照れるじゃないですか。」

「褒めてないし。真顔を言わないでくれるかな。」




勇者視点


「これから向かうところはどんな場所なんでしょうか?」

「王国の北西部の山だ。高地トレーニングってヤツでな、効率良く身体を鍛えられるぞ。」

「アンタみたいにガチムチにならないか心配よ。」

「私は高山病が心配ですね。苦しくなれば言うのですよ。」

「分かりました。」

勇者は知らない。自分がどれ程狙われているのかを。

そのために、どれ程の犠牲が出ているのかを。


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9章は今回で終わりです。

次は勇者を中心に書きたいなと思っています。

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