248話 黒いドレスの女

メイとキラーマンティスがぶつかり合い、鈍い音が響き渡る。

「シネ!シネ!」

「どこを狙っているのか丸分かりですよ。もっと工夫しないと。」

「ダマレ!」

キラーマンティスの猛攻をメイは躱し、大きな隙ができた時だけ攻撃した。

「クソ、ナゼアタラナイ!」

「このままちまちま削っていくのも手ではあるんですが、疲れたのでそろそろ終わりにしましょう。」

「キサマゴトキニ、ヤラレテタマルカ!」

「燃え尽きろ。火魔法«熱線砲ブラストキャノン»」

「スベテヲキリキザメ!風魔法«真空の刃ホロウブレード»!」


火と風がぶつかり合い、風に拡散された炎が周りに引火する中、メイはさらに魔力を注ぎ込んだ。

その瞬間、大爆発が起き、風を完全に散らしてしまった。

だが、メイの魔法は消えておらず、キラーマンティスを吹き飛ばし、戦闘不能にした。

「はあはあ、死ぬ…」

メイは疲労が蓄積した影響で立つことすらできず、倒れ込んでしまった。

「おい!大丈夫か!」

「メイさん!しっかりしろ!」

「私のことはいいので、さっきのヤツが完全に死んでいるか確認してきてください。」

「分かった。ピーターさん嬢ちゃんを頼んだぞ。…変な事すんなよ?」

「し、しないわ!何言ってるんだ!」

「必死になってるのがなー」

「早く行ってきてもらえます?」

「ア、ハイ」

「やーい、やーい」

「ピーターも行ってきてください。」

「え」

「ほら、早く」

「厄介払いされてる気がするなぁ」



『そんなボロボロの身体でよくやったの。』

「相手は直線的にしか動かなかったのでいつも戦っている敵と比べて楽な部類でしたよ。」

『その結果倒れておる癖に、何言っておるのか。』

「神威魔法のせいですよ。なんであんなに負荷が高いんですか。」

『神の権能なんじゃからしょうがないじゃろ。というか、疲労が蓄積しているだけですんでいる方がおかしいんじゃよ?』

「知りませんよ。って、疲れているので、話があるなら後にしてもらえますか?」

「あら、そんなこと言わないでよ。あなたに話しかけられるのはこんな時しか無いのに。」

黒いドレスを着た女がメイの背後に立っていた。

「では、話をしましょう。単刀直入に、この騒ぎの元凶はあなたですか?」

「そうだと言ったら?」

「私たちに手を出して無事にいられると思っているなら大きな間違いだと言っておきます。」

「クスクス、私は、この件に関係してないわ。」

「なら、お仲間に言ってあげてください。覚悟していろ、と。」

「怖いわね。でも、キチンと言っておくわ。私も後悔したくないから。それじゃあね。」

「私は再開なんてしたくないですけどね。」

『何者じゃろうな。』

「さあ、敵対するのならいつか対峙するでしょうから、その時まで置いておきましょうか。」

『楽しみは後にとっておくと言うやつか。』

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