247話 コピー
黒煙から出てきた魔族の顔を見てカイトは思わず笑う。
「ハハハ!そうか、お前嬢ちゃんをコピーしたのか。どうりで強いわけだ。」
「まさか、メイさんをコピーするとは、瓜二つじゃないか。」
「嬢ちゃんと一緒の顔を攻撃するのはちょっと心苦しいが、少し八つ当たりさせてくれや。」
触手を切り落とし、詰め寄る。
ガキン!と組合い、顔を近づける。
「見れば見るほど、似てるな。でも、コピーする人間を間違えたな。嬢ちゃんの身体はそんな戦い方を想定した身体じゃないから、もたねえぞ。」
「確かに、メイさんの身体はかなり華奢だ。乱暴に使えば簡単に壊れてしまう。」
「そういうこった。でも1つ問題があるんだ。」
「それはなんだ?」
「身体が壊れる前に俺らがやられる可能性が高い事だ。」
「おっと、それは想定外。」
「オマエラ、ウルサイ」
魔族は魔力を高め一気に解き放った。
「「ぎゃああああ!!」」
メイ視点
『おい!起きよ!このままではソナタの仲間が死んでしまうぞ!』
「…ん、ここは…そうだ、気を失っていたのか。」
『今、ブレードマンティスの変異体が魔族に進化し、ソナタの仲間と戦っておる。何とか持ち堪えておるようじゃが、時間の問題じゃ。』
「そうですか。じゃあ、行かないと…」
壁に寄りかかりながら、何とか立ち上がる。
『やはり、神威魔法の疲労が残っておるか。本来は10人以上の人間が己の命と引き換えに使用するような魔法じゃからな。』
「疲労が残っているからなんだと言うんですか。敵はそんなもの待ってはくれない。それに、私が行かなければみんなが死ぬだけです。」
『そうではあるが…』
「場所は?」
『…』
「早く教えなさい!」
『そこから南少し行った街の外縁部じゃ。今のソナタは魔力感知すらできない。くれぐれも無茶をするでないぞ。』
「そんなことは百も承知です。」
メイは移動を開始した。
『いつもと比べると遅いのう。』
「うるさいですね。一般人と比べると速いでしょうが。」
戦場に到着すると、カイトとピーターが倒れていた。
「カイト、ピーター、大丈夫ですか?」
「大丈夫に見えるなら眼科に行った方がいいぞ。」
「メイさん。敵はメイさんをコピーしてる。気をつけてくれ。」
メイが周りを見渡すと、
「ホントに私と瓜二つですね。何者ですか?」
「ワタシガナニモノカナド、カンケイノナイコトダ。」
「別に関係ないことはないと思いますけど、さしずめキラーマンティスと言ったところでしょうか?」
「オマエハキケンダ。シンデモラウゾ。」
「無視なんですね。まあ、カタコトで何言ってるのか分かりませんが、同じ顔でこんなことされるのは堪ったものではないので、死んでください。」
ドン!とぶつかり合うメイとキラーマンティス。
「チッ!力負けしますね。」
「シネ」
「調子に乗らないことです。」
メイは後ろに押し込まれる力を利用して距離を取ろうとする。
「ニガサナイ」
「引っかかってくれますね。」
一旦体勢を整えようとしていると見せかけ、敵が避けることの出来ないタイミングで結界で壁を作り、前方に飛び込んで斬り付ける。
メイの一撃をガキ!と触手で何とか受け流し、すれ違うキラーマンティス。
「カマキリのクセに触手を使うなんて、身体どうなってるんですか?」
「ヨケキレナカッタカ」
「経験不足ですね。カイトやピーターは能力差で何とかできたのかもしれませんが、私を同じようにできるとは思わないことです。」
「フザケヤガッテ、ニンゲンゴトキガ!」
「魔物風情が、調子乗ってんじゃねえぞ。」
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