246話 共闘

カイト視点


「来やがったな。サキ、動きを止めることはできるか?」

『やってみるわ。』

光の輪が魔族の周囲に出現し、拘束した。

だが、魔族はそれをいとも簡単に破壊してしまった。

『あれ以上の魔法は時間をかけないといけないわ。』

「マジか、正面から相手するのがキツイから動きを止めたかったのに、それをするためには時間を稼がないといけないのか。」

『メイさんはどうなっているのかしら。』

「使い物にならなくなるって言ってたし、期待しない方がいいだろう。とりあえず、俺は1人で戦うことになりそうだ。」

『バフをかけるわ。』

サキは攻撃力と防御力アップの魔法を唱えた。

「サンキュー、これで一方的にやられることはなくなったと思いたいんだが…」

魔族はじっとカイトの方を見つめて動かない。

『なんだか不気味ね。』

「俺の戦闘能力を測ってるんじゃないか?知らないけど」

『じゃあ、完全に測られる前に倒しちゃわないと。』

「そうだな。うし、行くか。」


ピーター視点


「おい、誰か戦ってるぞ!」

「あれは、メイさんの知り合いじゃなかったか?」

「そんなのどうでもいいわ!男と、仮面を被ってるが、身体付き的に女か?」

「おいおい、どうなってだよ。人型のカマキリが出たと思ったら、今度はカマキリのカマを持った人間が出たぞ。」

「あれは人間じゃない。魔族だ。とりあえず、あの人の加勢に行ってくる。お前らは他に敵がいないか警戒して欲しい。」

「はあ!?何言ってるんだよ!あんなの2人だけで倒せるワケないだろ!?死ぬだけだ。」

「頼むよ。俺の後ろを任せられるのはお前らだけなんだ。」

「チッ、仕方ねえ。今回はお前の言うことを聞いてやるよ。」

「頼んだぞ!」



「はああああ!!」

カイトと魔族が戦っている所に割って入る。

カイトの服はボロボロでサキのサポートが無ければすでに戦闘不能になっていた程だった。

「加勢に来たぞ!」

「それはありがたい、もう1人欲しいと思ってたんだ。」

「左右から攻撃を仕掛ける。」

「同士打ちの危険もあるから、デカイ攻撃をする時は言ってくれ。」

「分かった。…行くぞ!」


2人は左右から攻撃を繰り出す。

初めての共闘ではあるが、互いが達人級の技量を持っていたため、相手の呼吸や動きである程度の連携がとれていた。

「…ザコガ、メザワリダ」

その魔族はドン!と魔力を放出し、2人を吹き飛ばそうとする。

2人はそれを何とか耐えることができたが、攻撃の手が緩まり、反撃を受けてしまった。

「ガハ!」

「グッ!」

殴り、蹴り飛ばされ、距離が空いてしまった。

「クソ、これじゃあ各個撃破されちまう!」

魔族はより厄介だと判断したカイトの方へ攻撃を仕掛けた。

「俺の方かよ!」

カイトはピーターが来るまで攻撃を一切せず、攻撃を受け続けた。

「はっ、てめぇの攻撃なんざ、痛くも痒くもねえよ!」

そう言った瞬間、攻撃が激しくなった。

「あ、嘘です!嘘だからやめて!」

その背後では、ピーターが魔力を溜め、魔族の至近距離からその膨大な魔力を解放した。


爆発が起こり、もうもうと煙が上がる。

爆発の衝撃により、外れたらしい仮面がコロコロと転がっている。

「感触はあったが、どうだ?」

「…あ、それフラグ」


その黒煙の中から触手が飛び出し、カイトとピーターを締め上げる。

「無傷かよクソが」

「たいした時間も稼げなかったな。チクショウ」

「イタカッタゾ、オマエラ。フザケヤガッテ」

煙が晴れ、その中から顔を出した魔族を見て2人は驚愕した。

「な!その顔は!」

「…もう笑うしかないな。

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