127話 大事なこと
アリュールは自分の出した数値が信じられず
「機械が壊れているだけですよ!私にこんな数値出せるはずありませんよ!メイちゃんも精霊術使えるんだよね。やってみてよ。」
「別にいいですけど。」
「こ、これは!こんなに才能がない人も初めて見たよ。」
私が輪に腕を通すと、メモリは20にすら達しなかった。
「ほら!やっぱりこわれてるんだよ!!」
「僕がやってみようじゃないか。」
ニコラスが腕を通すと55を示した。
「うん、この前から変わってないね。やっぱり故障では無さそうだ。ちなみにこれは精霊術士の平均値だよ。それにしても20以下の数値は僕も初めて見たよ。精霊術が使えるらしいけど、ホントかい?」
「私の精霊術は親和性とかいらないので。」
「ハッ!そんな精霊術があるなら見せて欲しいものだが、今はいい。そんなことよりも、僕の下で精霊術を学んでみないか!」
「ヒエ!メイちゃん…」
「はぁ、そういうのはダニエル先生にいってもらえますか。アリュールが了承しても担任が否と言えばどうにもできないので。」
「確かにそうだね。」
「外も暗くなってきたので今日は帰ります。行きますよ。」
「あ、待って。」
「ダニエル君か、やはりDクラスが落ちこぼれとは嘘っぱちだねぇ。…そう思いますよね、学園長。」
研究室の外から老人が入ってきた。
「そうじゃのう。今年も豊作なようで何よりじゃ。」
「さっきの銀髪の子は学園で学ぶ必要はあるのですか?」
「ある。あの子がこの学園で学ぶべきことがあると思ったからこの学園に来たのじゃ。であるなら、ワシらはあの子にこの学園に来た意味があったと思わせなければいかん。分かるじゃろ。」
「言いたいことは分かりますが…知識面ならともかく、実技では教えることなど何一つ無いのでは?むしろ我々が教えを乞う立場にあります。」
「そうじゃな。ダニエル先生にもあの子の相手をすることがやっとだと言われた。それに彼女のオーラはこの学園のどの魔術教官よりも優れておる。それだけの鍛錬を積んだということじゃな。」
「ならば…」
「じゃがな?それだけではないのじゃ。この学園で学ぶことができる最も大切なことは強さでも知識でもない。まぁ、そのことを学ぶことができるかどうかは彼女次第じゃがの。話は終わりじゃ。次に会うときも教師として、研究者として接してあげなさい。」
「それは…承知しております。」
夜は更けていく、今までの研究がすべて覆され無力感に苛まれていたとしても…
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