125話 臭くないよね?
「すべての物質が目に見えない粒で構成されているなんて信じられないな。」
「別に信じなくてもいいですよ。存在を認識しているだけでも違いますから。」
「でも、黒板使ってまで説明したことが全部嘘ってこともないだろうし、やっぱり本当のことなの?」
「私が嘘をつくメリットはありませんから。」
「それが本当なら教科書の内容もわかりやすくなるかも。これで私も上手く魔法が使えるようになるかな。」
「言いにくいのですが、多分無理です。あなたに魔法の才能はありません。」
「え?冗談じゃ…ないみたいだね。私が魔法を使ったところを見たわけじゃないのにどうしてわかるの?」
「見れば分かりますよ。ただ、勘違いして欲しくないのは、あなたに何の才能もないわけではないということです。」
「私に何の才能があるの?剣も魔法も使えない私は何ができると言うの?」
「まだ話すかどうか決めかねていましたが、話すことにしましょう。アリュール、あなたは精霊に好かれすぎています。だから他の術がまったくと言っていいほど使えないのです。逆に魔法が使えているという事実に驚きました。」
「精霊に好かれている?それはいいことなの?」
「そうですね。精霊術士になれば必ず大成できるでしょう。ただ、最初は危険かもしれません。威力の調整ができず、怪我の危険性があります。」
「そうなんだ。でも、精霊術なんてどうやればいいんだろ?」
「精霊術は私も専門外なので教えることはできません。が、ここは王国で一番の学園です。専門家に聞けばいいんですよ。」
「確かにそうだね。」
「じゃあ今から行きましょうか。」
「え、今から?大丈夫かな?」
「放課後ですし、大丈夫だと思いますよ。」
「そっか、それにしても、精霊術か。エルフみたいな種族じゃないと使えないんだと思ってた。」
「鍛錬しだいでどんな術も使えますよ。適正があるかどうかは種族差や個人差が出ますが。」
「私は精霊術の適正が高かったってこと?」
「異常に高いと言わざるを得ません。」
「でも、なんで誰も気づかなかったのかな?」
「精霊を見ることが出来なかったのでしょう。精霊の姿を見ることができるのは精霊術士だけですから。」
「じゃあメイちゃんも精霊術士なの?」
「精霊術は使えますが、精霊術士ではありません。私は加減ができないので、基本的に使わないんですよ。それに精霊の姿もエネルギーの塊にしか見えません。」
「精霊術士は違うように見えるの?」
「精霊術士は訓練により精霊視を使えます。それは精霊を生物として認識できるようになります。動物や小人ような感じですね。」
「そうなんだ。私の周りはどうなってるの?」
「あなたの周りは空気が澱んでいる気がします。」
「それだけ精霊がいるってことでいいんだよね。私が臭いとかじゃないよね!?」
「精霊術が使えるようになればその状態も解消できるようになるでしょう。」
「無視しないで!?」
教官室に向かっていると
「君たち、ちょっと待ちたまえ!」
白衣を来た男に呼び止められた。
面倒事が舞い込んできそうな気がする。
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