123話 交渉術

入学式をする時にクラス単位で入場するため、Dクラスに来ていた。

「この人たちが私のクラスメイトか。友達作れるかな?」

「どうでしょうか。でも、面白そうな人は何人かいますね。」

「面白そう?目を付けられて可哀想に。」

「私のことなんだと思ってるんですか?」

教室に剣術の試験を担当していた教官が入ってきた。

どうやらあの人がこのクラスを担当するらしい。

「みんな並んでくれ、並び順は適当でいいぞー。」



私たちは大きなホールに案内される。

1クラス40人で5クラス200人がスッポリ入るどころか、この十倍でも余裕で入りそうな巨大な施設だ。

ホールにはたくさんの椅子と舞台、照明器具などがあり、劇でもするのかというほどの設備が準備されていた。

「おお、広いなぁ。」

「ここは何に使うんでしょうか。」

「分からないな。ここに来たのは初めてなの。」

「そうなんですか。」

話していると、ライトが舞台に集められ、一人のおじさんが出てきた。

『諸君入学おめでとう。私は学園長のハジード・ウェルセスだ。この学園は〜〜』

話が面白くないから割愛するけど、ライトといいマイクといい、高等技術の無駄使いすぎるな。

あと、なんでこんな話長いの?


あれからも学園長の話は続いた。

体感では一時間くらい話していたような気がするが、実際の時間は30分くらいだったらしい。

人を飽きさせる天才か?

ちなみにだが、クレソンはいびきをかいて寝ていた。

堂々としすぎだろ。



教室に帰ってきた私たちは好きに席を決めていいということで真ん中に座っていた。

「え〜、俺がこのクラスを担当するダニエル・ソンスだ。元Aランクの冒険者で授爵もしているが、遠慮する必要は無い。気になることがあったら何でも言ってくれ。」

あの人がフラスが言っていた教官か。

確かに強かったもんな。

「じゃあ、全員に自己紹介をしてもらおうか。えっと名前順でいくと、まずはアリュールってヤツからか、頼んだぞ。」

「はえ!?私からなの!?」

「そうだぞ。ほら40人もいるんだから早くやれ。」

「わ、私はアリュールと言います。えっと、仲良くしていただけると嬉しいです。よろしくお願いしまふ!…噛んじゃった〜。」

アリュールのあとも自己紹介は続いた。

平民が6割、下位貴族が4割という構成だった。

私の自己紹介?無難に終わらせたに決まってるだろう。

あがり症でもないから噛んだりすることもないし。


とりあえず、自己紹介が終わったあとそこで解散となった。

「メイ帰るわよ。」

Aクラスも解散になったようでカレンが迎えに来た。

「はい。アリュールまた明日。」

「うん、じゃあね。」

アリュールは学園の寮に住むことになったらしく、ここでお別れだ。



「寮か〜。どんな感じかしら。」

「さあ、でも一度一人暮らしをしてみるのも良い経験にはなると思いますよ。」

「経験か、いいわね。それなら色々練習しないといけなわね。」

「あの辺境伯がカレンに火を使わせることを許すでしょうか?」

「許してくれないと嫌いになるって言えば許してくれるわよ。」

「いつの間にそんなことを覚えたんですか。あの人も可哀想に…いや、自業自得かな?」

いつの間に覚えたと言われてもメイから学んだということは言わない方がいいかな?と思うカレンであった。

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