4.5章 怪盗の相棒

99話 事案

「それで?どうしてこんなに遅くなったの?」

「いえ、あの、そのですね。色々あったと言いますか、なんと言いますか。」

「濁さないの。ハッキリ言いなさい。」

「向こうで事件に巻き込まれてました!」

「そんなに長引いたのかしら。」

「その事件自体はすぐに終わったんですけど、その後が長引きましてですね。」

「ふーん。手紙を出す暇もないくらい忙しかったんだ。」

「えっと、その、それは…。」

「こっちを見なさい。目を逸らさず、私の目を見なさい。」

「すいませんでした。」

「何がすいませんなのかしら?」

「手紙を出さなくて心配をかけたことです。」

「そう。分かってるならいいわ。まぁ、これでお説教は終わりね。本当に心配したんだからね。」

「はい。必ず手紙は出すようにします。」

「帰ってくるって言ったらそれに間に合うように帰るよう努力しなさいよ。」

「ぐうの音もでません。」


「ハッハッハ、あーおもしろ、嬢ちゃんが正座して説教されてるなんて、ブフッ!今思い出しても笑いが込み上げてくるぜwww」

「一発殴ってもいいですかね?」

「いいと思うわ。それも承知で笑ってるんだろうし。」

「ま、待て!wダメだ、笑いが止まらん。アハハハ。」

ゴスッ!

「イッテェ!」

「いい音鳴ったわね。」

「腹の虫が治まらないのでもう一発。」

「ホントにヤメテ!」


翌朝

「なんで嬢ちゃんはメイド服を着てるんだ?」

「お願いされたからですよ。前々から着てほしいって言われてましたし、今回の件でカレンのお願いを断るという選択肢は無くなったので。」

「なるほど。」

「メイさん似合ってるわよ。」

「そうですか?それならいいんですけど。いつも履いているスカートよりも短いので不安感が。」

「確かに、それは膝上だけど、メイさんが履いてるスカートは膝下のものばかりだもんね。」

「ほんのちょっと短いだけだろう?そんなに変わるのか?」

「男はスカート履かないから分からないのよ。」

「そんなこと言うなら履いてみます?」

「辞めておく、誰得だよ。」

「サキさん得?」

「ちょっとやめてよね。そんなの見せられたら完全に罰ゲームじゃない。」

「罰ゲームて、もっと言い方あっただろう?なあ?おい、無視するな。」


三人で話しながら食堂に向かう。

「メイくん、可愛いじゃないか。よく似合ってるよ。」

「メインは私ではありませんよ。」

「どういうことだい?」

その時、食堂の扉が開き、メイド服を着たカレンが入ってきた。

「どう?似合ってるかしら?」

「控え目に言って天使。」

「おっさん、鼻血を流しながらは完全に犯罪者だ。」

「メイと一緒に秘密で用意してたの。可愛いでしょ。」

「一見ただのメイド服だけど使われてる布や随所に施されたレースやフリル、こんなの可愛くないわけがないわ!」

「お前は興奮しすぎだ。」

「アンタは可愛いと思わないの!」

「思うけどさ…。」

「うわ。」

「誰だ!うわって言ったのは!俺は悪くないだろう!?」

「ここでは女性陣が強いんだよ。諦めたまえ。」

「それでのいいのか…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る