42話 恋バナ?


「気になったんですけど、カレンは婚約者いるんですか?」

「どうしたの急に。」

「いえ、ただ気になっただけです。」

「いるわよ。」

「どんな人なんですか?」

「第三王子よ。」

「王族だったんですか。」

「会ったことある?」

「いえ、ないです。王城にいたときは王太子殿下といたので。第二王子様を遠目で一度見ただけですね。」

「私も会ったこと無いのよ。メイが会ってたら、どんな人か聞けたのに。」

「会ったこと無いんですか。でも心配いらないと思いますよ。あの辺境伯様なので大丈夫ですよ。」

「そうよね。あのお父様が許可したんだもの。酷いことにはならなわよね。」

「第三王子様って何歳なんですかね?」

「同い年らしいわ。それで婿養子としてむかい入れるみたい。」

「そういう話は貴族である以上付いて回るんですね。」

「まだ実感とか湧かないんだけどね。ねぇ、王太子殿下ってどんな感じなの?」

「あの人ですか。殺しても死ななそうな人です。」

「何それ。」

「切られてもヘラヘラ笑ってそうというか。」

「それ化け物って言うんじゃない?」

「ただの非戦闘員なんですけど、そんな印象なんですよね。」

「他は?」

「うーん。…。」

「どうしたの?急にしかめっ面になって。」

「思い出したくもないことを思い出しちゃました。」

「何を思い出したの?」

「その、妻にならないか。みたいなことです。」

「ええ!プロポーズ!」

「そんなんじゃないですよ。どうせ冗談です。私を驚かせて楽しんでるだけですよ。」

「どんな風に言われたの?」

「こう、耳元で囁かれるように言われたんですよ。」

「おお!いいわね!」

「恋バナ?に食いつくなんてカレンも年頃の女の子というわけですか。」

「当然よ!恋バナが嫌いな女の子なんていないわ!さぁ、もっと聞かせて!」

「もっともなにもこれで終わりですよ。」

「なんだ、つまらないの。」

「婚約者のこと聞いただけなのに、とんだやぶ蛇でしたね。」

「メイって他に仲のいい男の子とかいないの?」

「いませんよ。街に行くときはカレンから離れること無いじゃないですか。」

「確かに。メイの村では?」

「家族以外と話すことなんてめったに無かったですね。」

「初めて会ったときの初めての友達って言ってたのは嘘じゃなかったんだ。」

「よく覚えてましたね。」

「インパクト強かったから。覚えてたの。」

「話は変わるんですけど。この屋敷に来る子供って何人来るんでしょうか?」

「その疑問、私が答えよう!」

「うわ、出た。」

「うわってだんだん、敬意というものが無くなってるんだけど。」

「気のせいでは?」

「絶対気のせいじゃないよね。ねぇ」

「なんのことやら。」

「シラを切るつもりか。だったら…」

「お父様、疑問にはいつ答えてくれるの?」

「そうだったね。家に来るのは5人だよ。」

「多いのか少ないのか分からないですね。」

「いつもなら10人くらいは来るんだけど、この世代は子供が少ないらしくてね。」

「何歳くらいなんですか?」

「8歳から12歳の子供たちだよ。」

「そもそも寄子っていくつあるの?」

「小さいの合わせて三十くらいかな?」

「多いですね。」

「ここら辺は山や川が多くて一つの貴族家で管理するには大変だからって理由らしいよ。」

「大人の事情というやつですね。」

「そういうことだね。」

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