41話 おばちゃん

残念ながら私のメイド服はサイズが合わなくなっていた。

「これは、手直ししてもらわないと。」

「クスクス、メイって真面目よね。」

「何がですか?」

「わざわざしまい込んであるメイド服を引っ張り出して着れるか確認してるんだもの。」

「一度だけと約束したからですよ。」

「一回だけしか着てくれないんだ。」

「そんな顔してもダメです。」

じ〜

「そ、そんな目で見ても着ませんから。」

じ〜

「き、着ませんよ。」

グスン

「泣いても着ないです…。」

「ホントにダメなの?」

罪悪感がスゴい。

「分かりましたよ!着ますよ!だからそんな目で私を見ないで!」

「やったー!」

「なんでこうなるんですか。」

「メイは優しいから、お願いしたら聞いてくれると思ってたわ。」

「イチャついてるところ悪いんだけど。授業の時間だよ。」

「イチャついてませんし、着替え中なので出て行ってもらえますか。」

「これは失礼。あまり睨まないで、メイくんの眼光怖いんだよ。」

「お父様、女の子に怖いなんて言ったらダメよ。メイはこんなにもかわいいのに。」

「メイくんって戦ってるときと怒ってるときは目が釣り上がるんだよ。その時のメイくんは大量殺人鬼かと思うほどの眼光なんだよ。はっきり言ってすごい怖い。」

「そんなこと言われても。」

「そうよ。怒らせるのが悪いのよ。」

「ここに味方はいないらしい。寂しいから退散させてもらうよ。」

「そうだった、授業の時間だったわね。メイ、早く着替えていくわよ。」

「はい。じゃあ行きましょう。」

「着替えるの早いわね。」

「私の服は簡単に着れるようになっているので。」


その後色々あってカマン婦人を呼んだらしい。

呼ばなくていいのに。

「あら、メイちゃん久しぶり、大きくなったわね。」

「お、お久しぶりです。マダム。」

「カレンちゃんも大きくなったわねぇ。私も歳をとるわけだわ。」

なんというか、前世の大阪のおばちゃんみたいな人なんだよ。ずっと喋ってるというか、しゃべり方というか。さすがにヒョウ柄の服は着てないけど。

「ほらメイちゃんこっちに来て、測るから。」

「分かりました。」

「もう、敬語はいいって言ってるのに。」

「これが癖なので。」

「そうなのよ。メイってずっと敬語使ってるのよ。」

「お友達にも敬語を使ってるの?大概ね。」

「何がですか。」

「大概よね。」

「だから何が?」

「分からないことが大概だわ。」

「「ね〜。」」

イラッ!

「ふざけないでもらえます?」

「あら、怒っちゃった。」

「メイ、そんな怖い顔しちゃダメよ。」

「誰がさせてるんですか。」

「ごめんて。」

「はぁ、まったく。」

この二人が絡むと悪ノリが過ぎるんだよ。

この二人の相手は疲れる。

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