43話 スパイ

私は辺境伯に大事な話ということで呼び出されていた。

「何かあったんですか?」

「ああ、闇商人がこの街に出入りしているらしい。」

「そうですか。どんな連中ですか?」

「言葉のとおり非合法なことをやってる連中だ。奴隷の売買や薬物、精霊のように保護されている魔物を商品にするなど好き勝手やっているんだ。かなりの規模のようでね、こちらも決定的な証拠が無ければ動けないんだ。」

「この街では何を?」

「分からない。商品の補充か、下調べといったところじゃないか?」

「それで私はどうすれば?」

「後数日で貴族の子供がくる。君には彼らが危険なことをしないように見張っていて欲しいんだ。」

「そのことを知っている人は?」

「私とヘイミュート辺境伯軍の将軍、後はこの街の警備隊長と他数人だ。彼らは信用できる者たちなんだ。」

「かなり少ないですね。分かりました。注意は払います。ただ、6人全員を見張るのは難しいと思うのですが。」

「カレンちゃん最優先で、他の子は余裕があればでいいよ。」

「それなら問題ありません。」

「後、人数が少ないのは相手に悟られないようにするためだよ。」


話が終わった私は庭に来ていた。

相変わらずここは広い。他の貴族の屋敷の庭もこんなに広いのか?

そんなこと、今は関係ないのだけど。

闇商人か、ある程度の目星は付いてるらしい。

後は証拠があれば何とかできるらしい。

今回は本当に私のすることはほとんど無いらしい。

「メイ!知ってる?闇商人とか言うのがこの街に来てるらしいわ!」

「その話どこで聞いたんですか。」

「メイドたちが話してたわ。」

どこから情報が漏れた?

カレンを連れてすぐに執務室に戻った。

「何だって?情報が漏れている?」

「はい、メイドたちが話していたそうです。そうですよね、カレン。」

「ええ、噂話程度だけどそういう話をしてたわ。」

「それは、かなりまずいな。」

「すぐに話さないようにさせる?」

「それは悪手です。箝口令を強いても噂は広がります。その時にその噂を消そうとしていたとなると、それが本当のことだと認めているのと同じことです。この話は放っておいてあくまで噂というスタンスでいるべきです。」

「それが最良だと私も思うよ。しかし、どこから漏れたのか。」

「スパイでもいるのかしら?もしかして魔族とか?」

「魔族がこの街にいた場合、私のところに連絡が来るようにしてあります。まだ来ていないので、魔族ではありません。」

「いつの間にそんなもの仕掛けたんだ。」

「数年前からです。」

「そんなに昔からあるんだ。」

「まぁ、それに関しては今はいい。メイくん、間者を捕まてくれ。」

「別にいいですけど、得意ではないので時間かかりますよ?」

「できるならどれだけ時間がかかっても構わないよ。」

「承知しました。やってみます。」

こうして、私はスパイ探しをすることになった。

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