第6話 沈んだ気持ち

おはよう!いい朝だね!昨日は変なことを考えてしまっていたが、私はこの世界で精一杯生きると決めたのだ。前世で何をしていようが、今の私が何を感じようが良いじゃないか!


というわけで、昨日はみっちりとお説教されたので今日は大人しく魔力操作の訓練でもしていよう。

魔力操作のやり方は、座って魔力を全身に流したり、体外に放出して自分の思いどうりに動かすだけだ。全身に流すことはそこまで難しくない、コツさえつかめばできるようになる。しかし、体の外で動かすとなると話は別で、コツをつかむまでただ魔力を垂れ流しているだけになってしまう。

それから数時間訓練にいそしんでいたが、形になってきたところで魔力が底をついたので訓練は切り上げた。


実は結構前から気になっていた髪の色について聞いてみた。

「ママ、どうして私の髪の毛の色はママともパパとも似ていないの?」

「あなたの髪の色はね私のおばあちゃん、あなたのひいおばあちゃんの髪の色なの。大丈夫、あなたは私たちの子供よ。その証拠にあなたの目の色は赤色でパパとおなじでしょう?」

「うん。別に誰かにいじめられた訳じゃないよ。ただ気になっただけだから。」

そう言って私は外に出た。


良かった~!実は不倫で出来た子なのよって言われるかもってヒヤヒヤしてたんだよね。

もしそうなら、どんな顔して暮らせば良いのかって話だよ。

大丈夫私は愛されてる、望まれてここにいる。よし!予定変更だ!森にもう一回行ってみよう。

今の沈んだ気分をどうにかするには何か別のことしなくちゃならないからね。

え?森に入りたいだけだろって?う、うるさいな!良いじゃん!冒険したいお年頃なんだよ!


今日はこの前よりも奥に行ってみようかな?

ん?あれは大きなクマか?いや、あれ魔物だ。

この森にいるクマの魔物といえばグレートグリズリーだ、どうしてそんな魔物が村のすぐそばいるんだ!

この森に何か起きていると考えるのが自然か...とりあえず、あいつを倒さないと!

死角から近づいた私は至近距離から魔技«ショット»を浴びせた。

それを浴びたグレートグリズリーは、血反吐を撒いて倒れ、ピクリとも動かず、そこから起き上がってくることも無かった。

あまりにもあっけなかったので少しの間警戒を解くことができなかった。

今回勝ったのは不意打ちが成功していたからだ。もし、気づかれてカウンターをもらっていたら死んでいるのは私の方だった。村が危険だということにリスクが考えられなくなるほど冷静さを失っていた。私は村、特に両親に愛着のような物を感じているのかもしれない。

何はともあれ次は気をつけなければ、失敗すれば次は無いのだから...。


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魔技・・・魔法陣を使わず魔力だけで作られる技。

魔法・・・魔法陣と魔力によって作られる技。詠唱を行うことで自由に魔法の効果を変えられる(ごく一部の達人のみ)

魔技«ショット»・・・相手の体に触れ魔力を打ち出すことで内部から相手を破壊する技。相手の装甲が硬いほど威力は増す。

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