第5話 初戦闘
斧を捨てた私は、洞穴の前にいる見張り役のゴブリンを火魔法«ブラスト»で殺し、洞穴の中に入っていった。洞穴の中は狭く、大人は立って歩けない程だが、子供の私は問題無かった。暗視の魔法を使って歩いていくと、ゴブリンの声が聞こえた。何体かいるよだが、風魔法«ウィンドスラッシュ»で音をたてずに首をはねた。その時何かが走って行く音が聞こえた。見張りを殺した事がバレてしまったらしい。急いで隠れたので首をはねたゴブリンの血が服にベッタリと着いてしまった。マズイ…ママに怒られる。早めに終わらせて川で服を洗う事にしよう。何かが走って行った方向に歩いていくと、殺したゴブリンより一回り大きなゴブリンと遭遇した。それがなんというゴブリンなのかは分からないがとりあえず
雷魔法«ライトニングアロー»で消し炭にした。そこから歩いていくと広間のような空間に出た。上からゴブリンが飛び掛ってきたが、«熱線ブラスト»で沈黙させた。広間にはたくさんのゴブリンと杖を持った大きなゴブリンがいた。あの杖を持ったやつがボスだとアタリをつけた私は何もさせないために
混沌魔法«カオスインパクト»を放った。ゴブリン達はボスを守ろうと杖持ちの前に出たが、盾になる事も出来ず消滅していき、杖持ちに当たった瞬間魔法は爆発して範囲内のゴブリンを消滅させた。
生き残ったゴブリンは3分の1程度で、炎魔法«インフェルノ»で灰にした。
ゴブリンの魔石は価値がほとんど無く、お小遣い程度にしかならないらしいので、魔石は回収しなかった。ゲームみたいに倒したら死体が消えてお金とアイテムを落としてくれるなら楽なのに。
巣にいたゴブリンを全滅させた私は村人に見つからないように川に行き、服の汚れを何とか落として帰った。
「ママただいま」
アレ?ママ何か怒ってる?「メイ、あなた斧をどこにやったの?」
「あ」やばい森に忘れてきた…
「メイ!斧にさわったら危ないじゃない!」
「ご、ごめんなさい」
それから説教は続き、パパが止めに入るまで続いた。
今日初めて魔物を殺した、何の感慨も湧かなかった。前世ではたくさんの人間を殺してきた、やはり殺す事に慣れてしまった自分の心は壊れているのだろうか。
こんな自分が優しいパパとママの子供でいいのだろうか?
この日は眠りにつくまでグルグルとこんな事を考えていた。
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火魔法«ブラスト»・・・熱線を放つ魔法。頭に撃てば即死させられる。
風魔法«ウィンドスラッシュ»・・・広範囲に透明の刃を形成する。風の刃は少し背景がブレるらしい。
雷魔法«ライトニングアロー»・・・雷の矢が飛んでいるのではなく自分と相手に魔力の糸を渡し、そこを電気が通っているので避けることは不可能。
混沌魔法«カオスインパクト»・・・最初はハンドボール並の大きさだが、標的の元まで行くと急激に大きくなって範囲内にある全てを消滅させる。
炎魔法・・・火魔法の上位属性、広範囲を破壊する魔法が多い。
炎魔法«インフェルノ»・・・範囲内の生物全てを燃やし尽くすまで地獄の炎は消えることは無い。
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