第11話 はじめての告白

「かんぱーい!!」 「かんぱい……」


「もーどうしてそんなに元気ないのさー! あの伝説のマジックアイテムが出来たって言うのに!」


「だから俺はそのマジックアイテムを作るためにMPが切れる寸前まで頑張ったんだってば! だから今日は宴会無しにしようって言ったってのに……」


「きっとエールを飲めば治るって! ドワーフは風邪を引いたらとりあえずエールを飲んで治すんだから!」


 そこはポーションでも飲めば良いのでは。


「そうだ。ドーコはMPポーション持ってたりしないか? マジックアイテムを作る人を探してるなら1つくらい」


「流石に私もそんな珍しい物持ってないよ」


 そういえば確かヒューマンは神への祈りだからMPは必要ないんだったな、だからMPポーションが必要なのはエルフだけってことか。確かに相当レアそうだ。


「まぁそうだよな。ダメ元で聞いてみただけだからそう落ち込むな。とりあえずドーコのいう通りエールで治してみるよ」


「うん。それにしても宝石ばっかり用意してMPポーションの準備を忘れてたよー」


「でもMPポーションなんて、エルフしか使わないののそうそう売ってる物なのか?」


「エルフの里から冒険者になるために降りてきてるエルフのいるんだよ。だからそのエルフたちが使う様に少しは売ってるんだよ」


「そうだったのか、そうだとしてもエルフしか使わないものをドーコに売ってもらえるのか?」


「私だったら髭も生えてないし、ドワーフと思われないからおつかいに来たとでも思われるよ……」


 自分から落ち込んでいった。


「まっまぁせっかくマジックアイテムが出来た記念の席なんだ。楽しく飲もうぜ!」


「それもそうだね!」


 それにしてもMPポーションか。エリクサー?が作れたんだしMPポーションぐらいなら作れそうな物だが、そもそも俺はポーションを作ることができるんだろうか。明日はできればポーション作りを試してみたいな。


「ドーコ。ポーションも錬金術師が作る物なのか?」


「そんなわけないじゃん! 錬金術師ってエマが全属性使えないとなれないって言ってたじゃない! ポーションぐらいなら材料が有れば、普通の人でも作れるよ」


「ほーほー。じゃあMPポーションもそんな感じで出来るのか?」


「うーんMPポーションはなかなか難しいね。そもそもさっき言った見たいにエルフしか使わないから作り方がそんなに出回ってないんだよね。それに聞いた話だと材料に魔素が大量に含まれた薬草が必要らしいんだよ」


「うーん大量の魔素ってなるとあの森とかか?」


「あの森ってドギゾボの森?」


 ドギゾボの森?聞くからに恐ろしい森だな。


「ドワーフの村の近くにある森のことだよ。あの森そんな名前なのか」


「そうだよ!ちなみにドワーフの村の名前はドヴァルグって言うんだよ」


 かっけぇ名前だ。


「そのドギゾボの森だったらMPポーションの素材があったりするのか?」


「私もあんまり入ったこと無いからわからないけど、多分あそこの魔素なら生えててもおかしくないね。明日行って取ってこようよ! もしあったらずっとマジックアイテム作れる様になるよ!」


「危険な森に入って更に延々と仕事しろってどんなブラック企業だよ!!!」


 そもそもレベルこそ上がったがまだ戦闘経験は最初のVS兎しかないのだ。装備も全然更新してないし危ない賭けには出たくない。それに俺はスローライフを満喫したいのだ。そういうことは冒険者に依頼でもして取ってきて貰いたい。


「そういえば、ドワーフの長の奥さんが薬をヒューマンに依頼したのに来るのが遅いって言ってたな。何か理由でもあるのか?」


「うーんやっぱりあの森が怖いっていう冒険者も多いからね。強い冒険者がたまたまいなかったんじゃないかな?」


 より一層あの森に近づきたく無くなった。こうなったらドーコの言う通りエールで回復するのに賭けるしかないか。


「よーし今日は飲むぞー! ここにある酒全部もってこい!」


「おぉーいいね! こうなったら飲み比べしようよ! 今まで一度もしてなかったしね、純血のドワーフの力を見せてやるー!」




★   ★   ★




 「3……4……杯……ウップ。もう限……界……」


 バタッ


 ドーコが机に突っ伏す。俺はまだ余裕があった。一体どんな体をしているんだと我ながら思う。


 このままドーコを放って置くわけにも行かないし水を汲んできて手渡す。


「ありがとう、ドワルフ。それにしてもあんだけ飲んだのにどうしてそんなにピンピンしてるの?」


「ハハハッなんてたって俺は【ドワーフの神】持ちだからな」


 まぁよく分からんがドヴァルグで飲んだ時よりも耐性が出来てるしそう言うことなんだろう。


「やっぱりズルいよぉ。ねぇドワルフ」


「ん? なんだ?」


「ドワルフはよく私に『可愛い』って言ってくれたけどそれってどう言う意味? 子供っぽいってこと?」


 うーんそう言うつもりは一切ないんだが正直に言うのは恥ずかしいな。仕方ないここは腹を括って。残っていたエールを一気に飲み干し言う。


「いやそうじゃない。ただ純粋に可愛いと思ったからそう言ってだけだ。子供っぽいからとかじゃない。髭のことなら心配するなよ。俺は異世界人だからここの世界の人とは感性が違うんだよ。だっだから正直言ってこんな風に優しく接してくれてるドーコの事が好きだったりする」


 女友達でいたいとはなんだったのか? 酒の勢いとはいえなんとも情けない告白な気がする。それも仕方ない今まで生きてきて初めての告白だったのだ。まさか俺も初めての告白が異世界だとは思っても見なかった。

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