第5話 どうやらチートスキル持ちらしい

「たまたまドワーフ鋼と相性が良かっただけだって! きっとそうだよ、次はこっちの銀でナイフとフォークを作ってもらおうかな?」


 また意地悪をされそうな気がする。一応聞いてみるか。


「なんで今度はナイフとフォークなんだ? さっきみたいに剣でいいじゃないか。」


「だってもしかしたら大きいものは作れても細かいものは苦手かも知れないじゃないか! だったら今度こそ偉そうにって……あっ」


 やっぱり裏があったか、この腹黒ロリめ。まぁここで引いては男の恥だし銀を受け取る。またさっきの鉄の様にどうすればいいか体が勝手に動き始める。作業しながら、一つ聞いてみたいことを質問する。


「ひょっとしてドワーフっていうのは、こう鉄を持つとビビビビーっと感覚的にどうすればいいかわかるものなのか?」


「もしかしてその感覚があるの? 私ですらやっと使い慣れた金属でわかる様になったのに……もしかして何処かで経験を積んだ鍛冶師なの? それで私にドッキリを仕掛けてるとか」


「いやいや、俺は正真正銘の初心者だ。しかもドワーフの村でエリクサーを作るぐらいにはこの世のことを知らない」


「それもそうだよねーじゃあなんでだろ? 何かスキルを持っているとか?」


 あースキルかーそういえばと出来上がったナイフとフォークを置きマイページと念じる。


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名前 ドワルフ

レベル  9

視聴者数 2

フォロワー 2


メインジョブ 配信者

サブジョブ なし


スキル なし


ユニークスキル 【エルフの知恵】 【ドワーフの知恵】 【ヒューマンの良心】


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「おぉドーコ!フォローしてくれたのか、ありがとう。そういえば【ドワーフの知恵】ってのならあるぞ。もしかしてこれのお陰か?」


「どういたしましてって、えー!? まさか本当にスキル持ちなの!?!? しかもユニークスキルの【ドワーフの知恵】って数百年に1人しか持ってないって言われるあの【ドワーフの知恵】!? ズルじゃん!!」


 ズルって言われてもな。この体を作った時の設定ではちょっと手先が器用程度だったんだがな。


「まぁラッキーだったよ」


「ラッキーで済んだらドワーフは要らないよ? 私も【ドワーフの知恵】を持っている人なんて知らないからどうすればいいかわからないよ。とりあえずこの家にある全種類試してみる?」


「多分叩く必要は無いと思う。触れば大体分かるんだ。資源を無駄に使う訳にはいかないしな」


「触れば分かるって。いくら【ドワーフの知恵】持ちだからってそんな訳ないよ。だったらこれつけてよ。それで渡すからさ」


 そう言ってドーコは細長い布を渡す。もしかして目隠しして当てろって事か? どこまでも意地悪なやつだな。仕方ないここは言う通り目隠しをつけるか


「ほら、いう通りにしたぞ。早く渡してくれ。目の前で煽ってたりしてないだろうな?」


「ギクッ スキルに心眼があったりする?」


「しないから、ほら早く」


「もーこっちが師匠なのに。はい、これはなんでしょーか?」


 やっぱりみる必要がなかった。触った瞬間、脳に信号が走りこの金属の適切な対応法がわかる。


「金と銅の混合物だな、いい加減意地悪はやめてくれ」


「なんで? なんでわかるの!? 金は少ししか混ぜてないのに!」


「なんでって言われてもなー。勝手にわかるんだよ」


 そう言って目隠し外す。見た目でわからない程度にしか入っていない金までわかるのか。凄まじいな俺のスキル。


〔ドバン:まさか、ドワルフが本当に【ドワーフの知恵】持ちだったとはな〕


「おぉドバンか。持ってるって事は前から知っていたんだが、聞く前に追い出されてしまったからなー」


〔ドバン:その事は言わないでくれよ〕


「すまんすまん、ブラックジョークが過ぎたよ」


 ドーコの腹黒さがうつったのかもしれない


「ねぇねぇ、なんで1人で喋ってるの?」


「なんでって。ドーコも配信見てるだろ? 今ドバンからコメントが来たから喋ってるんだよ」


「まぁそれは確認してるんだけどさ、普通声に出さず頭で念じるものなんじゃないの?じゃないと探検中とか声でバレて大変じゃない?」


 配信という事でなにも考えず、今まで通り声に出して喋っていたが念じるだけで出来るらしい。確かにマイページを開く時も念じるだけで出来た。早速試してみよう。


〔ドワルフ:テスト 聞こえてますか〕


〔ドバン:おう、声も聞こえてるぜ〕


 自動で音声が出るらしい。俺のいた世界より配信技術が進んでいる気がする。どうしてドーコはそんなに配信に詳しいんだろうか。

 

「なぁドーコ。どうしてそんなに配信に詳しいんだ?確かメインジョブ鍛冶師のサブジョブ戦士だろ?」


「それは……」


 何やら言いづらそうにしている姿を見て察した。1人で作業していて研究していてきっと人恋しかったんだろう。少し考えればわかる事だった。


「エルフが配信してないかなーって……」


 ……


 俺の心配した気持ちを返して欲しい。まぁそこまで研究熱心なのは正直言って憧れる。今度はストレートに聞いてみた。


「じゃあドーコは配信に詳しかったりするのか?俺はどうやら鍛治はできるみたいだが、こっちの世界の配信についてはさっぱりでな。良かったら配信について教えてくれないか?」


「そういう事はちゃんとここにあるものを全て扱い切ってから言って!! それが全部出来たらドワルフの言う事なんでも聞いてあげるわ!」


 どうやらまた地雷を踏んだらしい。本当に地雷を踏み抜く癖だけは早く治したい。とにかく配信について学ぶために、ドーコの言う通りにするしかなさそうだ。幸い朝早くに起こされたし、ここにある物なら全部試しても今日中に終わりそうだ。

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