第二章 世界にたった一人との出会い
第11話 海外旅行者の憧れ
富士山の噴火直後は窃盗事件などが相次いだが、復興するにつれ、それは影を潜め、日本の自然災害以外での安全性は今でも続いている。海外旅行者が安心して旅行を楽しめる国の一つだ。
そして彼らの多くが経験したいと願うのは、実は寝台列車だ。
日本全国を一ヶ月近くかけ縦断する最高級寝台列車「空海(そらうみ)」は、もう何年先まで予約済み。これが大ブームなので、他の寝台列車も日本全国を走っている。多くは上りの場合は朝、東京駅に、下りは目的地へ着くのだ。世界的なウイルス蔓延防止のため、動くホテルとしての役割も多くなった。
今回も移動はすべて電車だと聞いていた。違反者の多くは「介助用ロボット」なので、一緒に旅行することも出来る。しかしその場合も人間と同じで、介助者は全額では無いが旅費は払わなければならない。
そしてそこまで詳しく調べられることがないとは言え、空港のチェックを受けることは避けたいのだろう。結果として、電車での移動となる。自動車運転ロボットもいるが、それは専用ロボットを短期間でも雇い入れなければならない。そうすれば、運転ロボットが介助ロボットの異常を察知し、ばれることにもつながる。
「このこと、電車の中でずっと二人で話したんだ、どうしよう、だまっていようかって」
二人は大の鉄道マニアでもあるので、僕たちは彼らがどんなにつらい事を、寝台個室で話したのかがわかった。そして、トラベラーズの話に、教室は一時間ほど物音一つしない状態になった。
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