第6話 同じ漢字
「フー、そういうの、お前の担当だろう? 」
「確かに・・・すいません、モンさん、ブンさん」
「でアイスおごり!! 」
「それはひどいんじゃ無いですか? 一年以上先輩なんですから」
「はーーーい、ママ子さんの言うとおりにしまーす」
お笑い芸人みたいなこの三人は、実は名前にすべて文がつく。なので一番年下がフーさん、開さんと中学時代、砂場で喧嘩したというブンさん、そして冷静、と言うか温かい感じのモンさん、この人がグループをまとめ上げている。
「仕方ないですね、冷蔵庫から出します」
と、ママ子は小さな冷蔵庫からアイスを取り出した。五本入った箱入りの物だ。
これは先生からの差し入れの時もあるし、必要経費で出してくれているときもある。
「ああ、仕事終わりのアイスは最高! 」
「ハハハハハ」
皆で楽しく笑い合っていると、やっぱり聞かれた。
「緑、証拠って時間? それとも言葉? 」
「言葉です。自転車でわざと水たまりを走って、かけてみたんです。すると
「気をつけろ! 」ですよ。自分がアンドロイドになんているのを忘れているんじゃないかと思うくらい・・・ひどい大人ですよ」
その言葉で、三人はピタッと止まってしまった。口に入れたまま、僕の顔を見ているブンさん、袋を空けるのに手間取っている姿勢のままのフーさん。
特にアイスを持ったままのモンさんは、食べることも忘れて、自分の頭の中で何かと格闘でもしているように見えた。
僕とママ子は、不思議そうにお互い顔を見合わせたけれど、三人はしばらくじっと黙ったままだった。
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